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『第23回全日本高校・大学ダンスフェスティバル』 [映像(コンテンポラリーダンス)]

 2010年8月22日、16:00から17:00まで、NHK教育にて、2010年8月4日から6日にかけて神戸文化ホールにて開催された「第23回全日本高校・大学ダンスフェスティバル」の様子を放映してくれました。

 この、今年で23年目という歴史ある「全日本高校・大学ダンスフェスティバル」というのは、高校生・大学生を対象とした創作ダンスの全国大会で、今年の参加者は延べ3700名、上演された作品数は200を超えたそうです。

 各賞を獲得した作品の舞台映像(一部のみ)を中心に、参加者たちへのインタビューや練習風景などを折り込んでゆくという番組構成で、次から次へと舞台映像が連続で流れるため観る方も忙しく、じっくり鑑賞する余裕がないのが残念です。

 作品のうちほんの一部しか放映されないので、全体構成などよく分からないのが悲しいところですが、まあ番組として一時間枠しかないので仕方ないのでしょう。

 実は私、この大会の様子を今回初めて観たのですが、そのレベルの高さに驚嘆しました。これならチケット代を払って観に行きたい、と思わせる作品がいくつも。

 著名なコンテンポラリーダンスを目指したものも多く(特に目立ったのは、ピナ・バウシュ、Noism、H・アール・カオスあたりでしょうか)、ただ真似るだけでなく先人たちの表現やら構成やら演出やらをしっかり研究して取り込んでいることが感じられ、唸らされます。偉いなあ、若者。

 何しろほんの一部しか見られなかったので個々の作品について評価するのは無理なんですが、まあ印象だけで適当なことを言わせて頂くと、まず最も気に入ったのはNHK賞を受賞した『カラスのいる麦畑』(お茶の水女子大学舞踊教育学コース)。

 衣装デザインのセンス、色彩の見事な使い方、音楽、振付、様々な要素が高いレベルでかみ合っていて、ダンス作品としての完成度が非常に高いと感じられました。ぜひ全体を観たい作品です。

 文部科学大臣賞(大学)を受賞した、『坐ることを拒む椅子』(筑波大学ダンス部)も、簡単な工夫で、はっとするような新鮮な場面(舞台に横一列に並んだ椅子にダンサーたちが吸い込まれて、あるいは喰われてゆくシーンとか)を演出しており、その表現には脱帽。

 同じく文部科学大臣賞(高校)を受賞した、『阿修羅』(福岡大付属若葉高(旧・九州女子高)ダンス部)は、体育会系ダンスというのでしょうか、力の限り観客を楽しませようという感じで、気持ちよく観ることが出来ました。

 大学生については作品としての完成度を、高校生についてはダンス技術を評価した、ということでしょうね。

 他に、ちらっと観た限りですが、審査員賞を受賞した『あなたの知らない川の中』(座間高校)が、珍しいカッパ舞踏団というか、河童祭りが楽しい。気に入りました。

 あまり気に入らなかった作品は、たいていご大層で高尚そうなテーマ(文学だとか戦争だとか)を掲げたものの、ダンス表現の力量が追いつかず、題材負けして、頭でっかちでダサい「演劇もどき」になってしまったものが多かったように思います。まあ、そこがいかにも若者らしくていい、という気もしますけど。

 それと音楽がただのBGMになっていたりして、もう少し音の使い方を工夫した方がいいのでは、という作品も多かったように思います。安易にモツレクとか使うのはよした方がいいと思う。

 というわけで、全体的には非常にレベルが高く、ばりばりのコンテンポラリーダンスを(部分的とはいえ)いっぱい観ることが出来て幸せです。近い将来、ここで踊っていた若者たちが世界に羽ばたき、あるいは日本のコンテンポラリーダンス界をぐいぐい牽引してゆくようになってほしいものです。


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