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『ホンのお楽しみ』(藤田香織) [読書(随筆)]

 2002年から2004年にかけて女性誌「FRaU」に連載された「だらしな草子」を加筆修正した上で文庫オリジナルで出版した読書エッセイ集。出版は2010年3月です。

 藤田香織さんといえば、コミック誌「ネムキ」で連載している「ブックブク」という読書エッセイが大好き。ネムキを買ってくると、とりあえず TONOちゃんの漫画を読んでから、次に読むのが『ブックブク』です。

 毎回、お勧めの本を何冊か紹介するコラムですが、何といっても推薦本のチョイスが素晴らしい。自分で読んで本当に面白いと思った小説だけを本音で紹介する、だから読んでね、という熱い気持ちがひしひしと伝わってきます。

 本書に収録された「だらしな草子」も似たような感じの読書エッセイというかお勧め本の紹介コラム。女性誌に連載されたので、導入の話題は主にダイエット(というか体脂肪率)、恋愛(する気がないこと)、女の一人暮らし、といったあたりに集中しています。その上で、「スポーツ小説」、「女友達小説」、「デブ小説」、「妄想小説」、といった具合にテーマを掲げて、お勧め本を三冊紹介する、というのがフォーマット。

 テーマは全部で38個、一つのテーマごとに3冊紹介なので、お勧めされている本は114冊ということになります。紹介文の中で同じ作者の他の作品も一緒にお勧めしているケースもあるので、推薦本は全部で120冊をこえるでしょう。純文学から娯楽小説、エッセイ集や実用書まで幅広く推薦されています。

 短い紹介文が「何がどう面白いのか」という具体的なポイントに絞って書かれているので、読んでみたい、いや読まないと大損、というか何でコレ読んでなかったんだ俺、てな具合に読書欲がむーらむら沸き起こってきます。びんびんです。

 くすりと笑えるイラストも味があって好み。「夏ヤセできるのは、夏だけだったのに!」、「一字書いてはエサのため」(藤田さんは犬猫を多頭飼い)、「働きますとも! 明日こそ」、「せめて一日300歩は歩けよ界からの引退もささやかれる」。

 というわけで、読了後には猛烈に本が読みたくなる読書欲亢進薬みたいな一冊。最近何となく読む本のジャンルや著者がマンネリ化してきてちょっとまずいかなあ、でも新たな分野や知らない著者にチャレンジする気力も乏しいし、などとお悩みの方に特にお勧めします。


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