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『カクタス・ダンス』(シオドア・スタージョン)、『秘教の都』(ブルース・スターリング) [読書(SF)]

 SFマガジン2010年1月号は「創刊50周年記念特大号PART-I 海外SF篇」ということで、人気の高い海外SF作家たちの作品をごっそり翻訳紹介してくれました。近作12篇に名作再録5篇というボリューム。年末に向けて少しずつ読んでゆくことにします。

 今回はスタージョンとスターリングというSF界二大スター(これにマレー・ラインスターを入れて三大スター。むろん嘘)の、SFというよりファンタジーに近い作品です。

 スタージョンの『カクタス・ダンス』はいわゆる植物怪異譚。フィールドワークの途中で消息を絶った高名な植物学者を追って、西部の未開地に足を踏み入れた語り手。ついに見つけた学者が語る世にも奇妙な植物の物語。彼はその植物と共生関係になったため、この地を離れることが出来ないというのだが・・・。

 今から半世紀以上前に書かれた(発表は1954年)古い作品ですが、スタージョンの巧みな筆さばきのおかげで幻想譚として大いに楽しめます。アイデアはさすがに今読むと陳腐に感じられますが、その文章から香り立つ雰囲気だけで最後まで読めるのはさすが。

 一方、スターリングの『秘教の都』は、ネクロマンサーである主人公が、黒魔術で蘇った古代エジプト神官のミイラを相棒に、魔都トリノを駆け抜ける物語。ダンテよろしくトリノの地下にある地獄へ赴いた二人は、死霊の王からサタンを倒すよう命じられるのですが・・・。

 辛辣な皮肉屋のミイラ男、苦労性でぼやきの多い死霊術師、二人のユーモアあふれる掛け合いが印象的な作品ですが、まあこの手の話の定番キャラクターと言えばその通り。現代イタリア風俗あふれる地獄の様子、環境ビジネスの売り込みに熱心なサタンなど、“くすぐり”は多いのですが、個人的にはさほど面白いとは思えませんでした。


タグ:SFマガジン
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