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『反米主義』(近藤健) [読書(教養)]

 米国に対する反感が世界中で増大しています。一極集中、帝国化、グローバリゼーション、ネオリベ(新自由主義)、資本主義の暴走、などなど、多くの論者が「反米主義」を掲げて、これらのテーマについて論じています。

 本書は、このような「反米主義」について検討する本です。ただし、反米主義の是非を論じる本ではなく、その評価を下す本でもなく、中立的な立場からその本質を考える一冊です。

 全体は3つの章に分かれており、まず反米主義について概観し、次に文化帝国主義(アメリカナイゼーション)について検討し、最後に日本における複雑な対米感情を歴史面からひもといてゆく、という構成になっています。

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 反米主義とは、さまざまな歴史的、文化的、政治的、経済的経路を通って形成された多様な資本主義制度のなかで、望ましい資本主義制度とはなにかを模索する自分探しの行為であるといえるのである。
(p.90)
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 「反米主義」とは、いわば米国(が掲げる理念)を原点とする座標上に、自らのあるべき姿をプロットしようとすること。それが本書の基本的な考えです。

 共産主義の実験が失敗に終わり、一方で米国流の高度資本主義社会が持つ様々な弊害が明らかになってきた現在、どの国も、確固とした将来像を見失い、必死の暗中模索を続けています。もちろん日本もそうです。

 米国とそれが世界に与えている影響を検証するための多様な視点を与えてくれる本書は、これから日本がどのような国を目指すべきなのかを考える上で、大いに参考になる好著だと思います。

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