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『心はどこまで脳にあるか』(大谷悟) [読書(サイエンス)]

 脳科学の最近のトピックスから、わざと怪しげなものをピックアップして紹介してくれる本です。取り上げられている話題は、テレパシー、脳からコンピュータへの直接入力、記憶の消去、自我の物質的基盤、といったものです。

 個人的には、テレパシー実験(隔離したペアの脳波に同期現象が見られるといったもの)に関する最近のいくつかの論文を紹介してくれる第一章が非常に興味深く読めました。

 他には、第三章の、記憶を人為的かつ選択的に消去できる可能性を示す実験(脳機能や新規学習機能に何らダメージを残すことなく、マウスの学習効果を消してしまう)にインパクトを受けました。人間への応用を考えると、ちょっと怖い。

 また最終章で、「心は脳の内部に閉じた機能ではなく、脳と外界とのやり取り(フィードバック)から生じるのであ~る」みたいな考え方を打ち出して、これぞ脳科学のアヴァンギャルド、とはしゃいでいますが、私の理解するところでは、それは最近ではごく普通の、むしろ主流となっている見解ではないでしょうか。

 全体的に、どうも文章が思わせぶり過ぎたり、大仰すぎたり、言い訳がましかったり、気取りが鼻についたりして、あまり気に入りませんでした。また各章の話題に統一感がなく、最終章とのつながりも分かりにくいため、散漫な印象を受けるところも残念です。

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