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『トンデモ偽史の世界』(原田実) [読書(オカルト)]

 これは圧倒的に面白い本です。歴史に関する予備知識は不要、ちょっとでも歴史の異端説や古史古伝に興味がある方なら、誰でも楽しめます。

 まず話題の範囲が非常に広いことに驚かされます。化石や石器の捏造、歴史修正主義、陰謀論、古史古伝、偽書、詐欺、異端説、超古代文明、オカルト、様々なトピックが「偽史」というくくりで並べられています。ですが、少しも散漫な印象はありません。むしろ、どれもこれも「人間が持つある種の情熱の発露」として見ると共通するものが多いことに感銘を受けました。

 次に、それぞれのトピックについての掘り下げ具合がちょうど良い感じに深い。表層的な紹介だけに終わらせず、その背景となる社会や学界の状況、事件の経緯、後日談、その後に残された影響など、一歩踏み込んで書いてあるのが嬉しい。

 そして、偽史運動が持つ危険性、陰謀論との親和性、偽史が国家により政治的に利用される恐ろしさ。そういった負の側面についてきちんと書いてあること。単に「こんな珍説をとなえている奇人がいるんですよ」と面白半分に紹介するような本ではありません。

 個人的には、『台湾誌』、四国の歴史異端説、石器遺跡偽造事件、そしてシェイクスピア関連のあれこれに興奮しました。それと、終章がこれまた凄い。私たちの年代の人は必読でしょう。

 というわけで、割と軽薄なタイトルとは裏腹に極めて真面目で深い内容、しかし読みやすくてものすごく面白い傑作です。ぜひ読みましょう。

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