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『奇想の江戸挿絵』(辻惟雄) [読書(教養)]

 北斎をはじめとする江戸の浮世絵師たちの作品から、「現代の読者にアピールしそうな」インパクトある傑作を選んで、解説と共に掲載した一冊です。

 全体は「異界を描く」「生首を描く」「幽霊を描く」「妖怪を描く」「自然現象を描く」「爆発と光を描く」「デザインとユーモア」という具合に描かれている対象によって分類されています。

 幽霊、妖怪の迫力も凄いし、嵐や爆発などの表現はすごく馴染みがある、というか現代の漫画に使われている基本的な表現(構図、効果線など)にそのまま直結していることがよく分かります。

 本書においてもその点は強調されており、例えば北斎作品と、同じ構図を用いている大友克洋『AKIRA』の1シーンを並べて比べてみる(p84、p85)といった試みを行っています。

 もちろん個々の挿絵が付けられた物語の粗筋も紹介されており、巻末には江戸読本年表および参考文献がきちんとまとめられており、新書だからといって手を抜かない生真面目な仕事ぶりがうかがえます。これで1000円は安いと思います。

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