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『河原荒草』(伊藤比呂美) [読書(小説・詩)]

 河原に生えている雑草のほとんどが外来種で、いわば場違いな存在でありながら、それでもそれなりに繁茂している。その様を自分の人生のあり方に重ねて見る。というようなことを表現している長編詩、だと思います。

 正直言って、前半は読むのが辛かったです。とにかく生き物の“業”のようなものをじっくりじっくり書いているのですが、死骸やら膿やら疥癬やら精液やら、生理的に不快なイメージが次々と立ち上がってくる感じ。

 途中でもう止めようかとすら思ったのですが、まあ頑張って読み続けていると、全体の2/3ほどのところで唐突に転換点があらわれます。で、そこからが凄い。

 それまでの閉塞感を吹き飛ばすかのような勢いで文章が吹き荒れ、言葉に生命力がみなぎり、もの凄いスピードで読者を引っ張ってゆきます。熊本の河原からカリフォルニアの荒れ地まで。

 転換点までは読んでてつらくて苦しくて3日かかったのですが、そこから残りはとにかく爽快で、30分かからずに読み抜いてしまいました。まるで便秘が解消したような読後感です。

タグ:伊藤比呂美
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