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『ミドリノオバサン』(伊藤比呂美) [読書(随筆)]

 伊藤比呂美さんの文章を読むのが癖になってきて、今度はエッセイに挑戦。

「わたしは緑のおばさん、室内で観葉植物をおもにそだてているのです」(単行本p.18)

 あとがきによると、二百鉢前後の観葉植物を世話しているという伊藤比呂美さん。

 彼女の住処はカリフォルニアの乾燥しきった荒れ地ですから、とにかくひたすら霧吹きをしゅっしゅと吹きかけて、カイガラムシを退治して、株分けして、植え替えして、それを一日中やっているという、かなり本格的な園芸エッセイです。

 全編に渡って、植物への愛情が根腐れしそうなくらいに注がれており、園芸に興味ない私が読んでいても「いいなあ」と思います。

 あと、作者自身による植物のイラストが味わい深く、見ていて楽しくなります。個人的には、階段に並べられたポトスの鉢(単行本p.113)のイラストと、モンステラの鉢を持つ娘さんのイラスト(単行本p.91)が素敵だと思います。

 エッセイなので詩や小説と比べると気楽に読めました。小説『ハウス・プラント』(単行本『ラニーニャ』収録)に出てくる観葉植物だらけの自宅、『河原荒草』に出てくる雑草に覆われた河原、それぞれ暗喩だとばかり思っていたのですが、ほとんど事実だと知ってちょっとびっくり。

タグ:伊藤比呂美
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