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『移動都市』(フィリップ・リーヴ) [読書(SF)]

 蒸気エンジン駆動キャタピラで絶え間なく移動を続け、強い都市が弱い都市を喰って生き延びる“都市淘汰主義”が支配する最終戦争後の世界。飛行船により都市間の交易を担う商人たち、戦争前のハイテク遺品を発掘して持ち込んでくるスカベンジャーたち、戦争前の技術で作られたターミネーターみたいな戦闘機械兵たち。

 設定だけで読者を魅了する傑作冒険SFです。

 タイトルからはプリーストの『逆転世界』を連想しますが、ああいう幻想小説ではなくて、むしろ宮崎アニメを思わせるドキドキハラハラの児童向け冒険小説という感じ。あまりSFっぽさはありません。

 さてストーリーですが。

 主人公は、移動都市ロンドンで生活する一人の少年。彼は、密かに進められている恐るべき計画に関する情報を持った少女と接触したために、命をねらわれるはめになります。

 少女と共に外界に脱出した主人公を追うのは、ダース・ベイダーが放った刺客、ボバ・フェット。逃げ続ける二人は腕利きパイロットであるハン・ソロに助けられ、空中都市クラウド・シティに逃げ込みますが、そこにもダース・ベイダーの魔の手が。

 ちなみにダース・ベイダーが宿敵であるはずのヒロインの父であることが最後の方で明かされますが、そんなことは読者には最初から見え見えです。

 幾多の危機を乗り越え、ようやく反乱軍の基地に逃げ込んだ二人ですが、既にロンドンは最終兵器デス・スターを完成。試射により都市一つを瞬時に破壊する威力を見せつけます。

 反乱軍基地へと刻一刻と近づいてくるロンドン。射程距離に入れば全てはお終いです。その前にデス・スターを破壊すべく、Xウイング・ファイターに乗ってロンドンへ飛ぶ主人公。

 行く手を阻む飛行船との激しい空中戦、ダース・ベイダーとのライトセーバによる一騎討ち、ロンドン自然史博物館での銃撃戦、大爆発するデス・スターからぎりぎりで脱出するミレニアム・ファルコン号、などなど最後は見せ場の連続。

(一部の固有名詞を変更してありますが、内容には手を加えていません)

 小気味よいテンポで進む物語、生き生きとしたキャラクター。ご都合主義まみれではあるのですが、とにかく面白いのでそんなことはさほど気になりません。

 単純に面白い冒険活劇を読みたいなあ、という方にお勧めします。

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