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『政治的』(イデビアン・クルー、井手茂太、斉藤美音子) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 夫婦で吉祥寺シアターまで行って観てきました。井手茂太ひきいるコンテンポラリーダンスグループ「イデビアン・クルー」の新作『政治的』の公演初日。振付はもちろん井手茂太。

「今年2月にイタリアで初演された作品をスケールアップして吉祥寺シアターで上演!!」というのが宣伝文句です。

 さて、舞台のセッティングですが、真ん中に廊下を作り、左右にそれぞれ事務所という設定の空間を作ってあります。

 折り畳み椅子、会議机、天井の蛍光灯など小道具を配置して、電話の呼び出し音やプリンタの印刷音やキーボードを叩く音などの効果音を流し、オフィス感を盛り上げます。

 この狭い空間にイデビアン・クルーのメンバー12名がひしめくようにして踊るわけです。しかも、左右は別の部屋なので、当然のように振付も別々。

 2つの部屋における別々のダンスが同時進行し、しかもダンサーも左右の部屋をいったりきたりするので、観客はどちらを観ていいやら分からず、右に左にと、視線をせわしなく動かすことに。フォーメーションはかなり緻密に変化します。

 ダンサーはみんな事務員という設定なので、スーツやら会社の制服やら着て登場します。女性ダンサーの制服が全然揃ってないのが微妙に可笑しい。

 振付ですが、朝礼、打ち合わせ、会議、席の譲り合い、金銭の受け渡し(そんな結構ですからいえいえ困りますここは私がいや本当にいいですいえいえいえどうかどうかここはひとつ)、新人教育、ゴマすり、なあなあ、根回し、稟議書回覧、カラオケ、などなど会社生活でよく見られるシーンをダンス化したもの。

 セリフは基本的にありませんが、ささやき声や呼びかける声が効果音的に使われています。具体的なストーリーはもちろんありません。演劇的ですが、あくまでコンテンポラリーダンスの公演です。

 みんなが「場の空気」を読もうとして牽制しあうシーン、一人だけ浮いてる奴がいて皆が気まずい雰囲気になるシーンなど、ここら編が「政治的」ということなのかしらん。

 上演時間は1時間ほどですが、ほとんどの時間は2つの部屋で数人が踊っており、非常に密度の濃い舞台です。見ている間はずっと楽しく、終わるとどっと疲労が出ました。

 とにかく理屈抜きに楽しめる、笑える、気持ちよい舞台でしたが、あまりにも「日本の会社における奇妙な風習」をネタにしたシーンが多いため、果たしてイタリアでウケたのかどうか、それが気になります。

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