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『Mind Hacks 実験で知る脳と心のシステム』(トム・スタッフォード、マット・ウェッブ) [読書(サイエンス)]

 コンピュータ技術書ばかり出しているオライリー・ジャパンから出版された脳本です。一見して、開発環境かプログラミング言語のマニュアルみたいな装丁なので、混乱しないように。

 で、これは、我々の脳が行っている知覚や認知の「クセ」というか「手抜き」というか、場合によっては「欠陥」について解説してくれるコラムを100本集めたものです。

 各コラムは、視覚、聴覚、触覚、感覚連携、身体感覚、推論、記憶、対人関係など、認知心理学のテーマ毎に分類され、我々の脳が思ったよりずっと奇妙な働きをしていることを教えてくれます。

 「現実とは、我々の脳が創り出している幻に過ぎない」とか、とりあえず言ってみたくなります。

 あまたの類書と異なる本書の特徴は、単に解説するだけでなく、ほとんど全てのコラムに「やってみよう」と題して実際に脳の働きの不思議さを自分で確かめてみる実験方法がついていることです。

 印刷された絵や、指定されたウェブページにアクセスして動画を表示させて、盲点や、錯視、視覚が停止している時間の存在を確かめたり。

 あるいは記憶力テストに挑戦して、記憶が勝手に捏造されることを確かめたり。

 何と言っても、本書を一通り読むだけで、認知心理学の代表的なトピックを学ぶことが出来ますから、これまで錯視や記憶錯誤や認知バイアスについて書かれた本をあまり読んだことのない人に、まずは入門書としてお勧め出来ます。

 ただ、さすがに1本1本のコラムは短いので、いまひとつ突っ込みが浅く、物足りない感じが残るのが残念です。

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