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『深海生物ファイル』(北村雄一) [読書(サイエンス)]

 深海に住む変な生き物たちについて、現時点で分かっている最新情報がぎっしり詰まっています。

 まず、深海生物の写真が80ページ近く収録されているのに目を奪われます。あのクラゲやこのナマコ、タコに魚に節足動物、皆さん美しいカラー写真がどど~んと御開帳。これだけでも定価分の価値はあります。

 DVDやLDで『深海生物』シリーズを観て興奮した人は、迷わず買いだっ!

 珍しいメガマウスの標本、金属コーティングを誇るスケーリーフット、謎の深海大イカ(名称未定)など、現時点で市販DVDに収録されてない最新映像もバッチリです。

 次に、代表的な生き物について、その奇妙でセンス・オブ・ワンダー溢れる形態や生態が詳しく解説されています。どの解説ページも、1ページまるまる美麗イラスト付き。

 そして、個人的にはここが最も感動したとこですが、解説の内容が充実。単に「こんな奇妙な生き方をしてるんですよ~、変ですね、くすくす」というのにとどまらず、なぜそうなのか、それがなぜ周囲の厳しい環境に対する適応と見なせるのかを、現時点での仮説も含めて詳しく説明してくれます。

 棲息域にようやく届くわずかな光の波長(青)をわざと見えないようにしている目、棲息域に存在しないはずの光の波長(赤)だけを感知する器官、泳ぐ方が速いだろうにわざわざ海底に足をつけるサカナ、雌に寄生する雄、雌雄同体の魚、群体生物、親に細菌を埋め込まれる卵。

 一見して「なんでやねん」とツッコミたくなる不思議な生態が、知覚・捕食・代謝・生殖といった側面から、どのように進化してきたのかが仮説として提供されてゆく様子は、もう「見ろ、これが、科学のコーフンだっ」という感じ。

 他にも、深海の大水圧に耐える浮力材の正体とか、深海底よりもさらに地下にいるらしい微生物、さらに日本の有人調査船「しんかい6500」は、計算上、そのまま木星の衛星エウロパの海底(深度、数万メートル!)を探査できるとか、もうたまりません。

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