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『シルヴィア』(ジョン・ノイマイヤー振付) [映像(コンテンポラリーダンス)]

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 「コッペリアの改作に興味はありませんか、と記者に聞かれたとき、“全くない。でもシルヴィアなら”と答えた。その後、すぐオファーが来たんだ」(ノイマイヤー)
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 現代を代表する振付家ジョン・ノイマイヤーを起用し、パリ・オペラ座の精鋭エトワール5名が総力を結集して踊ったという、まるでどっかのヒーロー戦隊モノのようなノリで上演された舞台、それが『シルヴィア』です。

 『シルヴィア』の初演は1876年、19世紀ロマンティックバレエを代表する作品の一つです。新しく建設されたガルニエ宮のこけら落としに上演されたという、パリ・オペラ座にとっては宝物みたいなもの。そりゃ気合も入るわけです。

 この作品を現代風に蘇らせたのは、しばしば“現代最高の振付家”という冠がつく、ハンブルグバレエのジョン・ノイマイヤー。

 素晴らしい群舞、工夫を凝らしたリフト。同じリフトは二度使わない、という勢いで次々と繰り出される新技。唸るしかないさすがの振付。評価の高さの割に日本で作品が上演される機会が少ないので、ノイマイヤーのファンは必見だと思います。

 さて、第一幕は、ギリシア神話の世界です。たぶん原作に近いのでしょう。

 ディアナ(マリ=アニエス・ジロ)とその手下であるシルヴィア(オーレリ・デュポン)が登場。シルヴィアに一目惚れしたアミンタ(マニュアル・ルグリ)が、アムールの化身(ニコラ・ル・リッシュ)にけしかけられて、彼女を口説こうとします。

 彼になびきそうになったシルヴィアを止めたディアナは、永遠に眠る恋人エンディミオン(ジョゼ・マルティネズ)のことを思い出すのでした。

 ・・・あー、まあストーリーなんてどうでもいいですか、じゃ残りは省略します。

 とにかくカッコ内に書いた出演者が凄い。マジに今のパリ・オペラ座を率いるスターが勢ぞろい。豪華キャスト、という言葉はこの舞台のためにあるようなものです。

 音楽はコッペリアと同じくレオ・ドリープ作曲なんですが、メインテーマを聞いて「あれっ? コッペリアで康村和恵さんが踊った曲?」と混乱しました。実は、日本のKバレエカンパニーが『コッペリア』を上演したとき、独自に付け加えられた「プレイヤーの踊り」というシーンで使われた曲、あれはシルヴィアのテーマの流用だったそうです。

 さて、出演者では、主役を踊ったデュポンが、輝くような美貌と正確無比なダンスで圧倒的な存在感を放っていました。デュポンはやっぱり凄い。

 それに少しもひるまず、堂々とディアナを演じたアニエス・ジロの男気も特筆もの。ジロといえば、『アパルトマン』でも一番めだっていた男らしい硬派なダンサー。すらりと背が高く、長い手足を存分に活かしたスケールの大きい踊りが特徴です。パリ・オペラ座エトワールのなかで、おそらく最も男らしい、アニキと呼ばせて下さい、なダンサーです。女性ですが。美女ですが。

 他はまあ、ルグリはいつものルグリ、ル・リッシュは道化役がピタリはまってました。スーツ着て蝶ネクタイつけて登場するだけで笑いをとれるダンサーって得ですね。

 オペラ座は、モダンやコンテンポラリーを積極的に上演してるんですが、日本で観ることがほとんど出来ない有り様。こういうDVDは貴重です。

 というわけで、パリ・オペラ座、ノイマイヤー、どちらかに興味がある人は必見です。

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