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『人類戦線』(ケン・マクラウド) [読書(SF)]

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 第二次大戦の終結後、先進高高度爆撃機(AHAB)の登場により世界の軍事バランスは大きく変わることになった。AHABは円盤型の爆撃機で、初めての試験飛行は1947年7月、ホワイトサンズ空軍基地からロズウェル陸軍航空基地までのテストフライトだった。初の実戦投入は2年後の1949年9月、モスクワへの原子爆弾投下任務。作戦は成功した。

 AHABの開発にまつわる経緯は全て軍事機密とされている。多くの人は、ナチスが円盤を作っていた、と信じているが、公式には認められていない。

 1963年の夏、語り手である「わたし」は、父親と共にAHABの不時着現場に偶然居合わせることになる。機体から救出された搭乗員は、人間とはとても思えない、小型で灰色のヒューマノイドだった。その夜、父親のもとに黒い服を着た男たちが尋ねてきた。それっきり父はその日見たことを口にしなかった。あの日がやってくるまで・・・。
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 いきなり何なんだとお思いでしょうが、SFマガジン2005年8月号に載っている『人類戦線』という中編のご紹介です。

 で、上の紹介は冗談でも何でもなく、マジです。作品は極めてシリアスな筆致で書かれた戦争小説で、反政府ゲリラに身を投じた主人公が経験する、果てしない戦争の泥沼を克明に描いてゆきます。ブロンド美人の金星人とのコンタクトも経験しますが。

 作者であるケン・マクラウド氏は本邦初紹介。英国の新鋭SF作家だそうで、本作は2001年に出版された新作。今後も訳出が続くことを期待します。

 あと、同じ号には『コールダー・ウォー』(チャールズ・ストロス)という短編も載っていて、こちらも冷戦当時の諜報戦を描いています。著者はやはり英国の新鋭SF作家。ネタばれにならないようにちょっとだけ紹介すると、「ソビエト連邦がショゴス4体を実戦配備」「イラクが密かにヨグ=ソトートを覚醒中」・・・駄目じゃん。

 というわけで、もうバクスターの時代ではないんですね。これが、現代の英国SFです。

タグ:SFマガジン
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