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『ハウリング』(井手茂太、斉藤美音子、イデビアンクルー) [ダンス]

 2016年3月19日は、夫婦で世田谷パブリックシアターに行って、井手茂太さん率いるイデビアンクルーの新作公演を鑑賞しました。カンパニーデラシネラの藤田桃子さんを含む10名のダンサーが踊る1時間の舞台です。

 タイトルはマイクをスピーカーに近づけすぎたときに起きる耳障りな発振音のこと。実際にハウリングも流れますが、むしろ「他人との距離感を間違えて近づきすぎたために起きるトラブル」という意味かも知れません。

 四名の管楽器の生演奏(これが素敵)に乗せて、出演者たちがてんでに寸劇のようなダンスのようなイデビアンな動作を続けます。どうやら婚活パーティ、というより昭和感ただようお見合いパーティであるらしい。

 土産ものを入れる紙袋を頭にかぶって互いに目を合わさないようにしたり、よく分からないつばぜり合いを演じたり。動きが音楽についてゆけなくなって困って無理に帳尻を合わせようとして混乱に陥ったり。

 足をくじいた相手に「大丈夫ですか」「大丈夫です」(突き飛ばす)「あっ」「大丈夫です」「えっ」「大丈夫です」(また突き飛ばす)とか、とってもイデビアーン。かと思うと場の空気や進行中の事態とはまったく無関係に「はっ」とか「やっ」とか大真面目に大仰かつ素っ頓狂なダンスを踊ってる人がいたり。そうです、斉藤美音子さんです。

 大まじめに淡々と意味不明なことをやっている出演者のなかで、素直に戸惑いを見せるのが客演の藤田桃子さん。どうしても彼女に感情移入してしまうのですが、それまで戸惑っておろおろしていた藤田さんがいきなりぶっちぎりの奇行に走ったりして、精神的な“膝かっくん”喰らって面食らう観客。藤田さんの演技は地味にパワフル。

 滑稽なシーンとしみじみしたシーンの対比が巧みで、例えば脱力お見合いトークの後、それまで奇行種の宴だった会場が閑散となって椅子が片づけられてゆくカフェ・ミュラーごっこ。なぜかじんと来ました。

 井手茂太さんが踊るシーンはやっぱり気持ちいいのですが、全体的にがんがん踊るダンスシーンは控えめで、そこはもの足りなく感じました。


[キャスト他]

振付・演出: 井手茂太
音楽: 大谷能生
出演: 斉藤美音子、菅尾なぎさ、中尾留美子、依田朋子、福島彩子、小山達也、中村達哉、原田悠、井手茂太、藤田桃子(カンパニーデラシネラ)



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