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『毒きのこ 世にもかわいい危険な生きもの』(新井文彦:写真、白水貴:監修、ネイチャー&サイエンス:構成・文) [読書(サイエンス)]

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毒きのこには人を惹きつける不思議な魅力があります。危険な“毒”と、とらえどころのない“きのこ”の相性は抜群で、この二つが合わさった“毒きのこ”は特別な神秘性すら帯びています。
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単行本p.77

 カラフルで可愛い姿に強烈な毒。危険で魅力的な毒きのこ43種の写真を掲載した毒きのこ図鑑。単行本(幻冬舎)出版は2014年9月です。


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彩りも立ち姿も魅惑的、
ミステリアスな森の妖精、毒きのこ。
森の奥で出会ったのは「殺しの天使」、
美しくも猛毒を持つドクツルタケ。

さあ、とっておきの毒きのこたちを、
ご紹介いたしましょう。
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単行本p.6


 というわけで、毒きのこ写真集です。一見して毒々しく感じられるものはほとんどなく、大半は可愛らしい、美しい姿をしており、見飽きません。

 きのこグッズのモデルとして大人気の「ベニテングタケ」。闇に妖しく発光する「ツキヨタケ」。一夜にして生まれ一夜にして溶けて消えてしまう「ヒトヨタケ」。鮮やかな紫色にベルベットの手触り「ムラサキシメジ」。高さ30センチにもなる「カラカサタケ」。持っているだけで違法となる「ヒカゲシビレタケ」。

 見た目と違って、毒きのこはたいへん危険です。


ドクツルタケ
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食後6~24時間ほどで胃腸系の症状が出て、いったん症状が回復したように思える時期があります。そこで安心してしまって治療をしないと、1~3日後から肝臓や腎臓が破壊され、2~7日後に死亡するのです。
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単行本p.50


ドクササコ
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食べた数日後、末端紅痛症といって、手足の先や鼻、男性器が腫れ、そこに、焼け火箸を刺されたような激痛が、なんと1か月以上も続きます。別名は、火傷のような痛みから「火傷菌」、その苦しみから「地獄もたらし」。地獄のような苦しみで衰弱死した例も。その上、有効な治療法はないといいます。
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単行本p.57


カエンタケ
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致死量は、生のきのこで、ほんの3グラム。しかも、ほとんどの毒きのこは、食べなければ中毒を起こしませんが、カエンタケは触って汁に触れただけでも皮膚がただれます。
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単行本p.48


 なんで菌類がこんな危険な毒を持たなければならないのか、実はよく分かってないのだそうです。


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そもそも、なぜ毒きのこは動物を不調にし、ときに死に至らしめるほど強力な毒を蓄積しているのでしょうか。この問題に対して、科学的に納得のゆく説明はまだなされていません。
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単行本p.77

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きのこの毒は身を守るためと思われがちですが、その毒には即効性のないものが多く、身を守る効果はないのではないかと考えられています。
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単行本p.46

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菌類は、世界中に150万種ほどいると推定されています。そのうち、報告されているのは、ほんの数パーセント。ほとんどの菌類は、未知の存在なのです。
さらに、はっきりと科学的な学名がつけられたきのこでも、海外のものと日本のものが、確実に同種であるかどうかは、わからないものもあります。
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単行本p.74


 謎めいた、危険な毒きのこ。素人が食用きのこと毒きのこを見分けるのは無理とのことなので、自分で採取したきのこを食べるのは避けた方がよいでしょう。個人的には、本書に掲載された美しい写真を眺めるだけで満足です。


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