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『Japan Quake Map "sapporo"によるヴァリエーション』(河野聡子) [読書(小説・詩)]

  「12:40 3月11日の午前1時54分に観測された地震を1回目として、今日までに観測された地震は1767回。"sapporo"によるヴァリエーションを書きはじめたとき1733回だった。17日間の間に34回の地震が日本のどこかであったことになる。私は13:16 地震とともに生活しているのでなくてなんだろう。13:16」

  「夢にまでみた/ぽぽぽぽーん」

 実験音楽の「演奏」行為として即興で書き続けられた、時計とパンダの間で揺れ続ける地震詩集。出版は2012年03月です。

 河野聡子さんの第二詩集です。A4サイズのレポート用紙の束のような外見、変則的タイポグラフィーを多様した異様な形式、見るからに実験的な詩集になっています。クールです。

 製作過程も実験的で、展覧会のためのイベントとして、現代音楽の「演奏」として即興詩を書く、楽譜の指示を独自に拡張解釈したルールに沿った形式と内容で詩篇を書いては、一枚ずつ会場に展示する、地震が起きる度にそのときネットで流れた言葉をコラージュして詩を組み立てる、といった規則で作られたものを詩集としてまとめたもの、だそうです。

  「UFOキャッチャーして、ビビりすぎてその場から動けなかった。天気も良く、駅まで歩いて、のんびりして。揺れても、卒業旅行中。信号が消えて変だと思った。とても冷静でした。信じられへんかった。この時以降DOD2やってない」

  「駅の近くなのに舗装が禿げてボコボコしてるな。目の前で瓦が落ちていく、スナップ、ぼっちトイレ、化粧タイムを待ってソワソワする。ナマズの能力は健在でした。照明のヒモみたらぐるんぐるん揺れ、びっくりして目が覚めた」

 地震が起きるたびにネットに書き込まれた膨大なテキストが、集積され、編集され、詩として提示されます。多くの体験の断片がコラージュされることで、地震そのものが文字として表現されているようで驚きです。なんかすげーっ、という感じ。

 文章の「背景」として、ラジオ放送や他人の言葉、ときに猫の鳴き声までが、「ルビ」のように表記されるという手法。目の前で朗読されているような、そのときのバックグラウンドノイズまでが作品に取り込まれているような、そんなライブ感が素晴らしい。こそばゆい。

 タイポグラフィによる漫画的作品があちこちに入っていて、これも面白いのです。例えば、「階段階段階段」を繰り返す文字群で2ページにまたがる巨大逆三角の山を作って、地震でエレベータが止まってしまった高層ビルの非常階段をひたすら歩いて下りるという体験を表現する。そこに「かいだんかいだんかいだん」という靴音が「ルビ」として重ねられ、ときどき「まださんぶんのいちくらい?」など会話がまざったりして、その「音響効果」にどきどきします。

 似たような作品として、空空空、風風風、水水水、地盤地盤、地殻地殻、マグママグマ、といった言葉を視覚的に並べてプレートテクトニクスを文字で表現したものも。マントルマントルマントルの途中に「プルーム」という文字がこっそり縦読みで紛れ込んでいたり。

 実験的な手法のなかで響いている詩の言葉は刺激的で、よく分からないまま、何だかときめいてしまいます。こう。

  「地上175m 175m above ground/17個の点滅する赤いドット。21個の点滅しない赤いドット。赤と白のECC。3回横に揺れる」

  「take it free 捧げ大当たりユリアのもの音楽による北斗のデジ確立80%後に自由いる確立1/79.9でハネ1枚ください」

 ときに、ふと随筆的な解説がはさまったり(これも楽譜の指示らしい)、思わずSF出ちゃったり、大真面目な顔で脱力ギャグかましたり、何だかとても懐かしく、嬉しい。ああ『時計一族』を書いた人だなあ、しみじみします。

  「詩の時間、とはいったいなんなのか。9:45 書くことは作業だ。10:21 考えている時間と、文字や音を操作する時間、がある。10:22 即興詩、といえば、音声で、思いついた端から口に出して作品をつくるというイメージが一般的にあるような気がする。だが「思いついた端から」というのは怪しく、実際のところ、即興で詩を読む、という場合もあらかじめネタを仕込んでいる人は多い(よね? 10:25」

  「無限不可能性ドライブが稼働し/遠くへ引き寄せられたけれど/もうことのついでにだから/きみたちと友だちになる/この一瞬をつかって/名まえをつけよう」

  「行かないで/水分子!/砂男さん/許して/自由になる、ぼくも、/自由になったよ!/だめよ。砂男さん。/旅は---/ひとりでしたいの。/さようなら。砂男さん。/こうして砂地盤は液状化し人間の家は傾いた」

 というわけで、東日本大震災のショックと混乱と余震がおさまらないなか、これだけの作品を即興で書いてしまったという、そのセンスとパワーに脱帽です。動揺します。

 さーて、では、個人的に最も気に入った部分を抜き書きしておきましょう。流布しているオカルト陰謀テキストのコラージュにより、あのひととき私たちを包み込んだ「気分」を再現してみたと思しき作品です。これ、いいなあ。ここでは一部抜粋しか出来ませんが、ぜひ全文を読んでみて下さいね。

  case1004 RB-47 米中西部,1957年7月17日 夜明け前
  地震には、自然地震、想念地震、陰謀地震がありますね。

  ミシシッピ-ルイジアナ-テキサス上空を飛行中のRB-47電子偵察機乗員がエリント装置で空中を移動する航空機搭載不能の高出力レーダーを検出。
  闇の勢力から想念地震が起きます。

  政府は真実を語ってないと考える人は80%に上がるという世論調査結果がある。
  高周波活性オーロラ調査プログラムで調べてみると

  「この宇宙に無数にある星々のどこかに、我々とは別の生命が住む惑星がある確率は極めて高い」
  アクエリアスの新世界秩序、スターゲートが待っています。

  「ただしその相手と我々が接触する確率は極めて低い」
  ニコラ・テスラは直流と交流でエジソンと争い   

  2011/11 March Tokyo Japan 大地震で揺れる東京にUFO出現か
  イルミナティはまつげの魔法

  物体はまばゆい光を発して消滅した。
  フリーメーソンはサンタです。

  ほんもののゆほーじゃないですかこれ?かんげきです。
  117、1+17、11+7、18、イコール6+6+6、


タグ:河野聡子
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