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『ペンダントイヴ -Studio Version-』(BATIK、黒田育世) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 昨日(12月12日)は、黒田育世さん率いるコンテンポラリーダンスカンパニーBATIKによる『BATIKトライアル vol.10 ペンダントイヴ -Studio Version-』を観るために、森下スタジオ(Cスタジオ)に行ってきました。

 今回はBATIKの代表作の一つ『ペンダントイヴ』の再演。黒田さん自身は踊らず(終演後の舞台挨拶あり)、BATIKメンバー10名によるこじんまりとした舞台です。スタジオバージョンということでオリジナルの劇場バージョンから変更が加えられているようですが、実際に観た印象では、さほど大きな相違はないように感じられました。ラスト、黒田育世さんによるソロが省略されていたのはちょっと悲しいけど。

 スタジオの床に腰をおろし、立て膝を両手で抱えたいわゆる「体育座り」の姿勢で、すぐ目の前で繰り広げられる『ペンダントイヴ』を観るというのは、これが想像していた以上の迫力。

 何しろダンサーたちが走ると真正面から風がびゅうびゅう吹きつけ、床の振動がどん、どん、ダイレクトに伝わってきて、こちらの身体も震えます。最前列なので他の観客は視界に入らず、まるで自分も舞台の上にいて参加している感覚。というか物理的にはその通り。緑の葉が舞い散るラストシーンでは、こちらの頭にも紙吹雪が。

 大きな劇場で舞台から離れた観客席に座って観たときよりも、何というか、“立ち会っている”という感覚が強く、そのため「傍観者として見殺しにしている罪悪感」に襲われます。それが演出意図なのでしょうが、何しろ体育座りの足先に、すぐそこに人が倒れて激しく痙攣しながら泣き叫んでいるとき、色々と考えるのは無理というものです。

 黒田育世さんも踊る劇場バージョンでは、何しろ彼女のパフォーマンスが突出しているため、舞台上に母あるいは神がいるという宗教的なまでのオーラが漂うのですが、今回のスタジオバージョンでは、その不在が、むしろ切迫感を高めていたように感じられました。実際、劇場ではひたすら圧倒されたのに、今回はじんわり涙が出てきましたし。

 というわけで、『ペンダントイヴ』はまぎれもない傑作です。劇場で観て、DVDで観て、段取りも演出も頭に入っているはずなのに、改めて観ても、その衝撃と感動がいささかも色あせていません。松本じろ氏による呪術的音楽のパワーもすさまじい。あの旋律とリズムが頭にこびりついて離れない。

  『ペンダントイヴ』の舞台映像はアマゾンでも購入できます。お勧めです。
  http://www.amazon.co.jp/dp/B003P96SUE/


[キャスト]

構成・演出・振付: 黒田育世
出演: 伊佐千明、植木美奈子、大江麻美子、梶本はるか、田中美沙子、寺西理恵、土井唯起子、中津留絢香、西田弥生、矢嶋久美子
演奏: 松本じろ、スカンク


タグ:黒田育世
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