SSブログ

『あかりのともるかがみのくず』(黒田育世、BATIK) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 「フェスティバル/トーキョー10(F/T 10)」参加プログラムである黒田育世さんの新作を観るために、夫婦で「にしすがも創造舎」に行ってきました。

 最前列の中央付近に座ろうとすると、座席の上に「この席には水や小道具の飛沫がかかる恐れがあります。あらかじめご了承ください」という旨の警告の紙がさらりと置いてあって、それを見た途端、一年前にここで『花は流れて時は固まる』を観たときのことがありありと脳裏に蘇ってきましたよ。ちょうど同じ席でした。

 結果的には水も小道具(リンゴでした)もかかりませんでしたが、すぐ目の前、手を伸ばせば届くというか、下手すると足を踏まれる至近距離で黒田育世さんが踊ったときにはビビりました。

 今回はBATIKの公演というわけではなく、BATIKのメンバー数名に男性出演者数名を加えた男女混成チーム。振付・演出はもちろん黒田育世さんです。感触としては『花は流れて時は固まる』をパワーアップしたような作品で、“言葉”の使い方や照明効果など『矢印と鎖』で試した手法も大胆にとり入れたという印象です。

 始まる前から既に会場に不穏な空気が漂っていますが、この不穏さが130分という長丁場に渡ってダレずに続くというのが凄い。例によって傍観者たることが許されない切実さあふれる舞台で、観客も無傷ではすみません。気を抜くところがなく二時間以上ノンストップで精神集中させられますから、これはかなり消耗します。最後は、出演者の体力が尽きるのが先か、観客の心が折れるのが先か、みたいな厳しいことに。

 というわけで、もしも『花は流れて時は固まる』や『SHOKU』に男性も出演していたらどのようなことになっていただろうか、という恐ろしい想像を実際にやってのけた、大胆にして不穏で、心に激しく食い込んでくる作品。黒田育世さん自身の出番は意外と少ないのですが、そのダンスは圧倒的でした。


[キャスト]

構成・演出・振付: 黒田育世
出演: 大江麻美子、大迫英明、梶本はるか、烏山茜、菊沢将憲、末長真、寺西理恵、西田弥生、黒田育世
音楽: 松本じろ


タグ:黒田育世
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0