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『矢印と鎖』(黒田育世) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 世界中の振付家・ダンサーが東京に集うダンスの祭典「ダンストリエンナーレトーキョー2009」もいよいよ佳境。今日は、BATIKの黒田育世さんの新作を観るために夫婦で青山円形劇場まで行ってきました。

 五人で踊る一時間半ほどの作品で、これまでの黒田育世さんの作品とは一味違います。そもそも出演者のうち二名が男性というのもそうですが、とにかく「言葉」が効果的に使われているところが新鮮。絶叫や哄笑や悲鳴だけでなく、今作ではセリフもかなり多用されています。

 「言葉と身体との関係を探求するような作品」と評されているのを読んだことがありますが、なるほど、こういうことかと。

 それにしても不思議なのは、個々のシーンだけに注目するといかにも凡庸というか、手垢のついた冴えない演出のようにも思えるのに、続けて観ているうちにどんどん感動が込み上げてくるところ。いったい自分が何に感動しているのか(言葉の内容でないことは確か)さっぱり分からないまま、ラスト近くに至って涙ぐんでしまいました。ダンスの力というのはまことにはかり知れません。

 従来の作品に比べて黒田育世さんが踊るシーンが少ないのは個人的にちょっと残念でしたが、まあ要所要所でキメてくれたのでOKというか、そもそも一人でがんがん踊って引っ張ってゆくような作品ではないので仕方ありません。

 ところで、字幕表示がなかったのですが、海外からの観客には問題なかったのか少し心配です。

 会場で購入した『矢印と鎖』オリジナルサウンドトラックCDを聞きながらこの日記を書いているのですが、これいいですよ。終幕に延々と流された「“巡る”の主題による変奏曲No.3」(トラック5)をリピート再生していると、舞台の感動を思い出して泣けてきます。


『矢印と鎖』

構成・演出・振付・テキスト・映像・美術コンセプト: 黒田育世
音楽: 烏山茜、松本じろ
出演:
  大迫英明、烏山茜、菊沢将憲(空間再生事業 劇団GIGA)、
  西田弥生(BATIK)、黒田育世(BATIK)


タグ:黒田育世
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