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『ほしのはじまり -決定版 星新一ショートショート』(星新一、新井素子) [読書(SF)]

 新井素子さんが選んだ、星新一さんのショートショート54篇を収録した傑作集。巻末には『星新一 1001話をつくった人』の最相葉月さんと新井素子さんの対談も収録されています。

 中学から高校にかけて必死こいて単行本を買い集めた頃の思い出が今になってぼろぼろ蘇ってきても困るし(困ります)、この歳になって読み返してみて「なあんだ」とガッカリしたら嫌だなあむしろそっとしておきたいなあという懸念もあって、なかなか読む勇気が出なかったのですが、今回思い切って購入して一気読みしてみました。

 結果的には、昔読んだときほどの興奮はないものの今読んでも充分に面白い、オチなど百も承知してても特に問題なく楽しめた、読んでいても別に昔の思い出が蘇ってきたりはしない、という無難なことに。

 ショートショート作品にはさすがに未読のものはありませんでしたが、単行本未収録だったエッセイ「星くずのかご」シリーズ全18作を読んだのは初めてで、これだけでも購入したかいがありました。このエッセイでは、自身の作品や執筆についてけっこう詳しいことが書かれていて興味深いので、見逃していた方はこの機会にどうぞ。

 あと、やはり600ページ近くに渡って文字ばっかりで、真鍋博さんや和田誠さんのイラストがないというのが寂しいところです。

 全体的に、昔読んだときと印象はさほど変わらなかったのですが、中編『殿さまの日』だけは別でした。これ、若い頃に読んだときは何が面白いのかさっぱりだったんですが、社会の仕組みというか世の中が本当のところどんな風に動いているのかそれなりに実感したこの歳になって読むと、これが抜群の面白さ。

 というわけで、私と同じような理由からためらっている方がいれば、「星くずのかご」だけ立ち読みするのではなく、このさい購入して通読してしまうことをお勧めします。意外な発見があるかも知れません。あと、お子様がいる方は、夏休みに読ませるというのもいいですね。


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