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『あっぷあっぷ』(福永信、村瀬恭子) [読書(小説・詩)]

 福永信さんの文章と、村瀬恭子さんの絵のコラボレーション作品。単行本出版は2004年4月です。

 小説にイラストが付いているというわけではなく、また絵画にイメージを膨らませるための詩が添えられているというものでもなく、むしろ二種類の現代アート作品が互いを補完するように併設されているという印象を受けます。

 いまひとつよく分からない情景(おそらく夢の中)が前後の脈絡なく唐突に書かれ、同一性連続性があるのか無いのか微妙にとらえきれない登場人物たち(主に子ども)の脈絡ない言動が一見無秩序に散りばめられ意味ありげに繰り返されるだけなので、無理に小説として読もう理解しようとしても、すぐに挫折することになるでしょう。

 ですから、まず福永信さんの文章を読んで、心に浮かんだイメージや雰囲気を逃がさないようにしながら村瀬恭子さんの絵を観賞する、「どういう話なのか」は気にかけない、読書というより現代アート観賞のつもりでページをめくる必要があります。考えるな、感じろ、ですね。

 福永信さんは、おそらく小説を書いているのではなく、文章から構成されたアート作品を制作しているつもりなのでしょう。何というか、気になる作家です。さらに他の作品を読んでみようと思います。


タグ:福永信
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