『ラヴソング』(伊藤比呂美) [読書(随筆)]
詩人、伊藤比呂美さんが30代の頃に書いた雑文を集めた作品集。単行本は2004年7月に出版されています。
その昔、英語のラヴソングを聞きながら、部分的にしか聞き取れない歌詞を自分の中で適当に「解釈」して口ずさんでいた、その「解釈」を改めて自作の詩として再構成した、というのがタイトルになっている「ラヴソング」のパートで、これが非常に面白い。
伊藤比呂美さんが若いころ適当に「こんなことを歌っているのだろう」と想像した(というか思い込んでいた)内容を書いた詩、原歌詞(英語)、その直訳(日本語)、という3つが並べられており、見比べることが出来ます。まったくでたらめな「解釈」をしちゃっている歌も多いのですが、驚いたことに、どれもこれも伊藤さんの詩が最も良いのですね。詩人というのはやはり凄い。
他にも様々なエッセイ、詩、おはなしが収録されています。伊藤さん自身が描いた、何とも味のある変なイラストが何枚も入っているのも嬉しいところ。
詩は、恋の悩み、セックスの悩み、家族の葛藤、人生の不安などをテーマにしているのですが、正直に言って、若いなあ、という感想です。切実な言葉ではあるものの、最近の作品から吹きこぼれてくるような凄みというか戦慄のようなものは感じられません。
著者が「はじめに」で、「どれもこれも、あんまりつらくて、長い間、読みかえすこともできませんでした」と書いているように、悩み苦しんでいる心情をストレートに表現した文章が多く、若い人が読めば共感するのではないでしょうか。今の歳になって読むと、「観念的なことに深刻に悩んだあの若さが懐かしい」みたいな気持ちになりますが。
その昔、英語のラヴソングを聞きながら、部分的にしか聞き取れない歌詞を自分の中で適当に「解釈」して口ずさんでいた、その「解釈」を改めて自作の詩として再構成した、というのがタイトルになっている「ラヴソング」のパートで、これが非常に面白い。
伊藤比呂美さんが若いころ適当に「こんなことを歌っているのだろう」と想像した(というか思い込んでいた)内容を書いた詩、原歌詞(英語)、その直訳(日本語)、という3つが並べられており、見比べることが出来ます。まったくでたらめな「解釈」をしちゃっている歌も多いのですが、驚いたことに、どれもこれも伊藤さんの詩が最も良いのですね。詩人というのはやはり凄い。
他にも様々なエッセイ、詩、おはなしが収録されています。伊藤さん自身が描いた、何とも味のある変なイラストが何枚も入っているのも嬉しいところ。
詩は、恋の悩み、セックスの悩み、家族の葛藤、人生の不安などをテーマにしているのですが、正直に言って、若いなあ、という感想です。切実な言葉ではあるものの、最近の作品から吹きこぼれてくるような凄みというか戦慄のようなものは感じられません。
著者が「はじめに」で、「どれもこれも、あんまりつらくて、長い間、読みかえすこともできませんでした」と書いているように、悩み苦しんでいる心情をストレートに表現した文章が多く、若い人が読めば共感するのではないでしょうか。今の歳になって読むと、「観念的なことに深刻に悩んだあの若さが懐かしい」みたいな気持ちになりますが。
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