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『古楽とストラヴィンスキー』(木佐貫邦子、近藤良平、平山素子、柳本雅寛) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 夫婦で新国立劇場まで行って、木佐貫邦子さんと平山素子さんの新作2本立て公演を観てきました。

 まずは木佐貫邦子さんの『キャラバン』で、これは4名のダンサーが“キャラバンを組んで旅をする”という設定の作品。ボートを漕いだり帆(あるいはテント)を立てたり、それらしいマイムもあります。が、あまりきっちりした構成ではなく、それぞれのダンサーが順番にソロダンスを披露して、それぞれ観客のウケを狙う舞台という印象を受けました。

 4名ともそれぞれ自分の個性をうまく活かしたダンスで気持ち良かったのですが、個人的にはやはり近藤良平さんのソロが最も気に入りました。片足でバランスをとりながらピタッとポーズ決めて静止したかと思うと、次の瞬間シュバッと旋回して足先で宙を切る、みたいなかっちょいい動きが次々と炸裂して、観ていていや実に爽快。雲門舞集(クラウド・ゲイト)を思い出しました。

 しかし、1ヶ月前には『日本昔ばなしのダンス』でポチを踊り、1週間前には「コンドルズ」の公演で踊っているのを観たばかりなんですが、いったいどうやってこれだけ連続で舞台をこなせるのか不思議です。いったい近藤良平さん、何人いるのでしょうか。

 次は平山素子さんの『春の祭典』で、これは2台のピアノ連奏による『春の祭典』をバックに平山素子さんと柳本雅寛さんの二人が踊る作品。

 こちらは色々と斬新な試みがあります。

 まずは、ピアノの生演奏で『春の祭典』を聴くという珍しい体験。次に、“『春の祭典』と言えば群舞”という常識を破って、ペアだけで踊るという面白さ。そして、前半は白い服でニジンスキー風に、後半は黒い服で大島早紀子(H・アール・カオス)風に、それぞれ異なった『春の祭典』へのオマージュをやるという趣向。それから、詳細は伏せておきますが、最後の見事な撤収と鮮やかな終演。これには驚きました。

 ダンスも非常にレベルが高く、難しい振付(いくつかある飛び込みリフトなど息を飲む)を危なげなく踊ってのけた2人のダンサーとしての力量には感心させられます。

 しかし、何というか、肝心の動きに新しさがないというか、演出が斬新な割にコンテンポラリーダンスとしては凡庸というか、どこかで見たことのある振付ばかりというか、わざわざ『春の祭典』に挑戦した意義があまり感じられないことに不満が残ります。

 というわけで、2作品を比べると、平山素子版『春の祭典』の方がブラボーの声がかかったりして観客の受けは良かったのですが、個人的には木佐貫邦子さんの『キャラバン』のゆるさ、茶目っ気、弾けっぷりの方が大いに楽しめる公演でした。


[キャスト]

『キャラバン』
振付・出演:木佐貫邦子
出演:近藤良平、福留麻里、入手杏奈

『春の祭典』
振付・出演:平山素子、柳本雅寛
ピアノ演奏:土田英介、篠田昌伸

タグ:近藤良平
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