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『ダイドとイーニアス Dido & Aeneas』(サシャ・ヴァルツ) [映像(コンテンポラリーダンス)]

 サシャ・ヴァルツが振付・演出を担当した、パーセルの歌劇『ダイドとイーニアス』の舞台映像を観賞しました。

 「コリオグラフィック・オペラ、サシャ・ヴァルツによる舞踏とオペラの融合」とか何とかよく分からない説明がついていますが、とにかく基本的にコンテンポラリーダンスの公演です。ただ、オペラでもあるので、歌詞の日本語字幕付なのが嬉しいところ。

 サシャ・ヴァルツの作品は、2006年に『ファンタジー』、2007年に『ケルパー』を舞台で観ました。最初は、全体に漂うシニカルな雰囲気、グロテスク一歩手前のねじれたユーモア感覚、そしてダンサーの身体をまるで物体のように無造作に扱う(ことで人間の尊厳をはぎ取る)ような演出が気に入らず、あまり好きではないと感じたものです。

 しかし、舞台を観ているときは気に入らないのに、後から繰り返し思い出しているうちに、次第に感動がわいてくるのが不思議なところ。

 本作はそのサシャ・ヴァルツが振付と演出を担当した大作です。彼女の持ち味がいい具合に活かされていて、えらく感動させられました。

 まず、舞台上に巨大な水槽を設置して、正装した男女が水中で踊るというプロローグにびっくり。そして大勢のダンサーとオペラ歌手が出演して、ダンスとオペラが融合した舞台を作り上げてゆきます。

 途中で何度か使われるワイヤーによる“釣り”(これが素晴らしい出来ばえ)、ラストで舞台上に灯される本物の火など、印象的な大仕掛けも冴えていますが、何と言ってもコンテンポラリーダンスが鋭い。心に残る良い動きです。

 パーセルの音楽、オペラの声楽、そしてダンスが一体となった、緻密でしかもスケールの大きい感動的な舞台でした。サシャ・ヴァルツの構成力は凄い。また来日してほしい、生の舞台で彼女の作品を観たいと思いました。

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