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『シンデレラ Cinderella』(ジャン=クリストフ・マイヨー、モンテカルロ・バレエ団) [映像(コンテンポラリーダンス)]

 バレエ・リュス・ド・モンテカルロの後継と見なされているのが、ジャン=クリストフ・マイヨー率いるモンテカルロ・バレエ団。その『シンデレラ』の舞台映像を収録したDVDを夫婦で観賞しました。振付はもちろんマイヨー。この人の全幕作品を観るのは初めてです。

 アシュトン振付の『シンデレラ』と比べると、ふざけているというか、ほとんどマンガチックな演出なんですが、これが何とも楽しい。

 露出度の高いセクシーかつお馬鹿なコスチュームで登場するシンデレラの継母には、娘とは別に手下(一応、仕立屋らしい)2名が付いていて、実にタイムボカンシリーズの悪役トリオそのものです。今週のやられメカも登場します(一応、マネキンらしい)。

 一方、死んだシンデレラの実母も、魔法使いというか仙女というか、いやむしろアメコミのスーパーヒロインのようなセクシーかつお馬鹿なコスチュームで登場。シンデレラを差し置いて目立ちまくります。舞踏会でもシンデレラが登場するのは最後の方で、それまでは母さん踊りまくり。王子様を誘惑したりして、貴方はいったい何をしに現世に戻っていらしたのですか。

 女性たちがやたら元気すぎるのに対して、男性はみんなしょぼくて駄目で、先妻を愛しているけど後妻の色っぽさもそれはそれでグーなので悩んでいる父親、足フェチらしくシンデレラの足しか見ない“エルビスは生きている”風の王子、何も考えてない手下たち。ああ、駄目だ駄目だ。

 ラスト、金粉舞い散るなか階段を駆け上るシンデレラと王子、その手前で先妻の服を抱きしめ悲嘆にくれる父親、しんみりと感動的なシーンのはずなんですが、どうもこう“人として根本的に駄目な姿というものを凝縮して見せてくれた”という別の感銘を受けてしまいます。

 というわけで、全体的に演出がちょっとやりすぎというか狂気入ってるんですが、振付自体は分かりやすく、下品になる半歩手前で何とか美しさを保っているという感じ。個人的に大いに気に入ったのは舞踏会の最後、シンデレラが登場してから退場するまでのシーン。まともで、美しく、楽しい。

 けれんみたっぷりの舞台ではありますが、もともと話に深みがあるわけでもないし、楽しいし、セクシーだし、お馬鹿だし、適度に風刺もきいているし、それなりに感傷的な場面もあるし、とても楽しめました。こういう軽いノリのマイヨー作品をもっと観たいです。

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