『CAR MEN』(イリ・キリアン、ネザーランド・ダンス・シアター) [映像(コンテンポラリーダンス)]
現代最高の振付家の一人、イリ・キリアンの作品集。3つの短編が収録されています。
『CAR MEN』はチェコの露天掘り炭鉱で撮影されたモノクロ短編映画で、ネザーランド・ダンス・シアターIIIの老ダンサーたち4名が、シュールなスラップスティック・コメディとホラーを交互にやります。カルメン役はキリアンのパートナーであるサビーネ・クップファーベルク。
しかし、ぶっとい葉巻をぶかぶかふかし、がっはっはっと豪快に笑うカルメンというのはマッツ・エック版の『カルメン』と同じなんですが、これは新しい伝統か何かなんでしょうか。
一応はカルメンということで愛憎劇ではありますが、極めてシュールな映像でストーリーは事実上ありません。個人的にはガラクタを積み上げて車を作り上げるシーンのドタバタ振りが好きです。後は謎の車を相手にした闘牛シーンとか。
2本目は『La Cathedrale engloutie』で、ドビュッシーの同名のピアノ曲(前奏曲『沈める寺』)およびその着想の元となったイースの伝説に基づいた作品。男女2名づつ計4名のダンサーで踊る作品で、海面を下から見上げたような背景と波の音響効果により、海に沈んだ街の住民たちの様々な感情が交差する様を神秘的に描いています。
しかし、最も感銘を受けたのは3本目の『Silent Cries』で、これは前述したサビーネ・クップファーベルクのソロ。ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』を使います。
サビーネが、汚れたガラス板の向こうで、苦悩や焦燥や怒りといった強烈な感情をダンスで表現するのですが、もうその凄いこと凄いこと。おそらく自由への渇望を表現しているのではないかと思いますが、とにかくその感情表現のエネルギーたるや、今にもガラスが割れてこちらに破片が飛んできて刺さりそう。
最初から最後まで引き込まれるように見入ってしまい、わずか20分程度の短い作品であるにも関わらず、終わった後はぐったりしました。キリアンすげえ。サビーネすげえ。
というわけで、『Silent Cries』だけでも買う価値のあるDVDです。イリ・キリアン作品をもっと市販映像化してほしいものです。
『CAR MEN』はチェコの露天掘り炭鉱で撮影されたモノクロ短編映画で、ネザーランド・ダンス・シアターIIIの老ダンサーたち4名が、シュールなスラップスティック・コメディとホラーを交互にやります。カルメン役はキリアンのパートナーであるサビーネ・クップファーベルク。
しかし、ぶっとい葉巻をぶかぶかふかし、がっはっはっと豪快に笑うカルメンというのはマッツ・エック版の『カルメン』と同じなんですが、これは新しい伝統か何かなんでしょうか。
一応はカルメンということで愛憎劇ではありますが、極めてシュールな映像でストーリーは事実上ありません。個人的にはガラクタを積み上げて車を作り上げるシーンのドタバタ振りが好きです。後は謎の車を相手にした闘牛シーンとか。
2本目は『La Cathedrale engloutie』で、ドビュッシーの同名のピアノ曲(前奏曲『沈める寺』)およびその着想の元となったイースの伝説に基づいた作品。男女2名づつ計4名のダンサーで踊る作品で、海面を下から見上げたような背景と波の音響効果により、海に沈んだ街の住民たちの様々な感情が交差する様を神秘的に描いています。
しかし、最も感銘を受けたのは3本目の『Silent Cries』で、これは前述したサビーネ・クップファーベルクのソロ。ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』を使います。
サビーネが、汚れたガラス板の向こうで、苦悩や焦燥や怒りといった強烈な感情をダンスで表現するのですが、もうその凄いこと凄いこと。おそらく自由への渇望を表現しているのではないかと思いますが、とにかくその感情表現のエネルギーたるや、今にもガラスが割れてこちらに破片が飛んできて刺さりそう。
最初から最後まで引き込まれるように見入ってしまい、わずか20分程度の短い作品であるにも関わらず、終わった後はぐったりしました。キリアンすげえ。サビーネすげえ。
というわけで、『Silent Cries』だけでも買う価値のあるDVDです。イリ・キリアン作品をもっと市販映像化してほしいものです。
タグ:イリ・キリアン
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