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『フランクザッパ・ストリート』(野中柊) [読書(小説・詩)]

 少女漫画のような小説を書くらしい野中柊さんの作品を初めて読んでみました。単行本出版は1998年、私が読んだ文庫版は2007年に出版されています。

 斎藤美奈子さんの『本の本』に、「本書を読んださる中年男性は、おじさんにはついていけんかった、と申し訳なさそうにのたまった」などと書かれていたので、それでは、とばかり自分に対する挑戦。

 結論から言うと、すいません、やっぱりおじさんにはついてゆけませんでした。

 様々な人間や動物たちが仲良く暮らしているフランクザッパ・ストリート。ここでおじさんは「なんでフランク・ザッパ?」と戸惑うのですが、そんな読者は光の速さで置いてきぼりにされます。

 フランクザッパ・ストリートの住民は、変なアイスクリーム製造販売業のペンギン、映画好きのテリア犬のカップル、神出鬼没のUMA兄弟、世界的モデルのパンダ、謎の仮面男、ちょっとひねくれ猫のヴェホ、ウェイトレスのミミちゃんとその恋人のハル君、といった基本的に能天気で愉快で気のいい連中ばかり。

 ときに落ち込むことや嫌なことがあっても、人生は長いようで短いんだから、さあ、美味しいものを食べて、素敵な恋をして、ハッピーにゆこう! ピクニックだ!! パーティーだ!!!

 最初から最後までそういうテイストで押し切る連作短編集です。毎回、美味しそうな料理が出てきて、巻末にはレシピ集までついています。徹底的に明るく、優しく、前向きで、人生に対して肯定的。

「恋して、愛して、笑って、泣いて、食べて、彼らの日常は、まるでパーティーのよう。一瞬、一瞬の輝きを放ちながら、時が流れていきます」(文庫版あとがき)

 こいつら何かヤバい薬でもキメているのかしら、それともプロザックの過剰摂取? と眉をひそめつつ読んでいるうちに、終わってしまいました。

 今どき少女漫画でもこういうのは希少種だと思うのですが、どうなんでしょう。

 まあ、すごく気に入る読者がいるというのはよく分かるんですが、私には向いてない小説でした。

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