『ヘッドハンター』(マイケル・スレイド) [読書(ファンタジー・ミステリ・他)]
シリーズ“またマイケル・スレイドを読んでしまった”その1。
さあ、悪名高いマイケル・スレイドを読むぞ。それもデビュー作から始めて、発表された順番に読んでゆくのだ!
何でそういうことになったのかと申しますと、「ナチスの超テクノロジーとロズウェル事件の真相がからんだ凄惨な連続殺人事件!」というミステリ小説があると聞いて、それはそれはぜひ読みたい、と思ったのがきっかけ。
調べたところ、カナダのマイケル・スレイドという作家(実は弁護士複数名のチームによる合作ペンネーム)が書いているサイコスリラーシリーズの一冊で、シリーズ全体でそれなりに連続性があるとのことで、では最初から読んでゆこう、と思ったわけです。
そのシリーズ第一作にしてマイケル・スレイドのデビュー作が本書です。
次々と女性を殺しては、いずれも首を切断して持ち去るという猟奇連続殺人犯、通称「ヘッドハンター」を、カナダ連邦警察が追うという、まあ警察小説です。ただし、その悪趣味さ、グロテスクさ、やりすぎ感、踏み外し感は、只事ではありません。
もう読者サービスという範疇を越えて、大抵の読者が辟易するであろう、残虐描写、猟奇シーン、書き手の悪趣味丸出しで喜々として語られるうんちくの数々。小説としての完成度などかまわず、とにかく書きたいことを書くのだ、あ、ついでにこんなことも書いてやれ、へへへ、というパワーに満ちた怪作です。
とにかく書き手の思い入れが暴走しているシーンが多く、小説としては破綻している感じがします。
作者グループのなかで
「じゃ、執筆シーンを分担しよう。君は?」
「変質者が少女をバラバラに切り刻んで食べるところ」
「プロットにそんなシーンはない。ままいいや、後から適当に組み込もう」
「俺はヴードゥーのエグい秘儀をぐっちゃぐっちゃねちこく描写したい」
「それもストーリーと無関係だが、ままいいや、動機にからめることにしよう」
「んーと、ボクはね、ロックと、ドラッグと、銃撃戦」
「思う存分、書いてくれ」
「で、基本ストーリー部分は君が書くんだね?」
「いや、私は猟奇快楽殺人者についてのうんちくを書きたいだけだ」
というような会話があって、メンバーが持ち寄った原稿を適当な順番に並べたら草稿が出来上がりました、とりあえず「最後の一行」で読者をびっくり仰天させれば、途中のちぐはぐ感は忘れてくれるだろうということで意見の一致を見ました、というような印象。いや私の勝手な妄想ですが。
しかし、では面白くないかというと、これが面白いんですね。いや、ノンストップで上下巻を一気読みしてしまいました。やっぱり好きなんですよ、こういうの。
というわけで、間違いなく読者を選ぶタイプの作品ですが、昨今ではついぞ見かけない「パルプ雑誌感あふれるいかがわしい低俗スリラー」を慈しむ方には、強力プッシュしておきます。いや、そういう方はすでにお読みでしょうが。
さあ、悪名高いマイケル・スレイドを読むぞ。それもデビュー作から始めて、発表された順番に読んでゆくのだ!
何でそういうことになったのかと申しますと、「ナチスの超テクノロジーとロズウェル事件の真相がからんだ凄惨な連続殺人事件!」というミステリ小説があると聞いて、それはそれはぜひ読みたい、と思ったのがきっかけ。
調べたところ、カナダのマイケル・スレイドという作家(実は弁護士複数名のチームによる合作ペンネーム)が書いているサイコスリラーシリーズの一冊で、シリーズ全体でそれなりに連続性があるとのことで、では最初から読んでゆこう、と思ったわけです。
そのシリーズ第一作にしてマイケル・スレイドのデビュー作が本書です。
次々と女性を殺しては、いずれも首を切断して持ち去るという猟奇連続殺人犯、通称「ヘッドハンター」を、カナダ連邦警察が追うという、まあ警察小説です。ただし、その悪趣味さ、グロテスクさ、やりすぎ感、踏み外し感は、只事ではありません。
もう読者サービスという範疇を越えて、大抵の読者が辟易するであろう、残虐描写、猟奇シーン、書き手の悪趣味丸出しで喜々として語られるうんちくの数々。小説としての完成度などかまわず、とにかく書きたいことを書くのだ、あ、ついでにこんなことも書いてやれ、へへへ、というパワーに満ちた怪作です。
とにかく書き手の思い入れが暴走しているシーンが多く、小説としては破綻している感じがします。
作者グループのなかで
「じゃ、執筆シーンを分担しよう。君は?」
「変質者が少女をバラバラに切り刻んで食べるところ」
「プロットにそんなシーンはない。ままいいや、後から適当に組み込もう」
「俺はヴードゥーのエグい秘儀をぐっちゃぐっちゃねちこく描写したい」
「それもストーリーと無関係だが、ままいいや、動機にからめることにしよう」
「んーと、ボクはね、ロックと、ドラッグと、銃撃戦」
「思う存分、書いてくれ」
「で、基本ストーリー部分は君が書くんだね?」
「いや、私は猟奇快楽殺人者についてのうんちくを書きたいだけだ」
というような会話があって、メンバーが持ち寄った原稿を適当な順番に並べたら草稿が出来上がりました、とりあえず「最後の一行」で読者をびっくり仰天させれば、途中のちぐはぐ感は忘れてくれるだろうということで意見の一致を見ました、というような印象。いや私の勝手な妄想ですが。
しかし、では面白くないかというと、これが面白いんですね。いや、ノンストップで上下巻を一気読みしてしまいました。やっぱり好きなんですよ、こういうの。
というわけで、間違いなく読者を選ぶタイプの作品ですが、昨今ではついぞ見かけない「パルプ雑誌感あふれるいかがわしい低俗スリラー」を慈しむ方には、強力プッシュしておきます。いや、そういう方はすでにお読みでしょうが。
タグ:マイケル・スレイド
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