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『日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか』(星川淳) [読書(教養)]

 実のところ捕鯨問題については関心がなかったのですが、先日の日新丸の火災事故について国内マスコミがほとんど報道しなかった(しかも救援したグリンピースをテロリスト扱いするような言説すら散見された)ことが気になり、反捕鯨派、というかグリンピースの見解を知っておこうと思い購入。

 著者はグリンピース・ジャパン事務総長です。

 で、捕鯨の歴史から始まって、ここまで政治問題化してこじれた経緯、日本の捕鯨推進体制がどうなっているのか、などの基礎知識をしっかり解説してくれます。

 もちろん、もともとクジラを乱獲したのは欧米であること(だから日本だけが悪者扱いされるのは公平とは言えないこと)もちゃんと書いてあります。

 その上で、よくある推進派の言い分を一つ一つ論破しながら、欧米諸国の反発を買ってまで「調査捕鯨」と言い張った商業捕鯨を続けるメリットはないことを示し、落とし所を探る努力をすべきだと主張します。

 例えば公海についてはIWC決議に従うかわり、日本近海の捕鯨については例外扱いしてもらう、などの現実的妥協です。

 クジラは頭が良いとか、野生動物は一頭たりとも殺すなとか、そういう感情的な物言いはなく、まずまず公平で客観的な立場をとっており好感が持てます。

 もちろん、グリンピースに対する国内マスコミの偏向報道については抗議しており、これは確かにひどいと思いました。

 捕鯨問題について、

「日本がいくら科学的論拠を提出しても無視されるんだよな」「ただの日本差別でしょ」「そもそも肉食人種に言われてもなぁ」「捕鯨は日本の伝統的文化だし」「それにクジラは増え過ぎて魚を食い荒らしているそうだよ」

などと思っている人は、まずは本書を読んでバランスをとった方がいいでしょう。ほとんどが虚偽と言いがかりなので。

 その上で、この問題を「具体的にどう解決するのが日本にとってベストか」という方向で冷静に考える必要があると思います。

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