『川の名前』(川端裕人) [読書(小説・詩)]
川端裕人さんの作品は、昔SF界隈でちょこっと話題になった『夏のロケット』やら『The S.O.U.P.』を読んで、その真面目な執筆態度は評価するものの、正直言って小説家としては下手だなあ、と思っていました。
感心したのは『動物園にできること』というルポを読んだときで、これは凄かった。“人間と自然の関わり合い方”といった、これはもう正解なんてどこにもないことが分かりきっている問題について、どこまでも真摯に追求してやまない姿勢、安易な結論に逃げ込まない絶妙なバランス感覚など、ああこの人は優れたジャーナリストなんだ、と思いました。
そして、この『川の名前』です。小説家としての力量が、ジャーナリストとしてのスキルにとうとう追いついた、という感じ。
ストーリーは、「小学生たちが夏休みに体験する冒険」という、まあジュブナイル小説の王道パターンです。
学校のそばを流れる多摩川の支流。教室の窓から川べりを歩く“恐竜のような”謎のUMAを目撃した少年は、仲間と共にその正体を探ってゆきます。
その先に見えてくるのは、川という身近な自然との驚くべき出会い、そして古くて新しい「自然と文明との共生」のおぼろげな姿です。
このテーマを真剣に扱って、しかもお説教臭くなく、鼻白むこともない話を書くのは、容易なことではありません。しかも、小説として圧倒的に面白い。やや予定調和的で後半は先が読めてしまう展開ですが、それをも含めて、読者を夢中にさせるだけの力があります。
感心したのは『動物園にできること』というルポを読んだときで、これは凄かった。“人間と自然の関わり合い方”といった、これはもう正解なんてどこにもないことが分かりきっている問題について、どこまでも真摯に追求してやまない姿勢、安易な結論に逃げ込まない絶妙なバランス感覚など、ああこの人は優れたジャーナリストなんだ、と思いました。
そして、この『川の名前』です。小説家としての力量が、ジャーナリストとしてのスキルにとうとう追いついた、という感じ。
ストーリーは、「小学生たちが夏休みに体験する冒険」という、まあジュブナイル小説の王道パターンです。
学校のそばを流れる多摩川の支流。教室の窓から川べりを歩く“恐竜のような”謎のUMAを目撃した少年は、仲間と共にその正体を探ってゆきます。
その先に見えてくるのは、川という身近な自然との驚くべき出会い、そして古くて新しい「自然と文明との共生」のおぼろげな姿です。
このテーマを真剣に扱って、しかもお説教臭くなく、鼻白むこともない話を書くのは、容易なことではありません。しかも、小説として圧倒的に面白い。やや予定調和的で後半は先が読めてしまう展開ですが、それをも含めて、読者を夢中にさせるだけの力があります。
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