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『殺人者の陳列棚』(ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド) [読書(ファンタジー・ミステリ・他)]

 先日読んだ『摩天楼の怪人』(島田荘司)についてネットで検索していて見つけた作品。ニューヨーク、摩天楼、謎の怪人、連続殺人、地下世界、といったモチーフが共通しており、現在の犯罪と100年近く前の犯罪をいったりきたりするプロットも似ています。勢いで注文して、読んでしまいました。

 ついでながら、名探偵役であるFBI捜査官ペンダーガスト氏が、これまた御手洗潔にそっくりなんですよ。これは別に不思議でも何でもなくて、両者ともシャーロック・ホームズを原型とするキャラクターだから当然ですが。

 お話はこうです。100年近く前に殺されたらしい遺体がニューヨークの地下で大量に見つかります。いずれも脊髄の一部を外科手術のように切除されているという、猟奇大量殺人の犠牲者です。

 ほどなく、現代のニューヨークに謎の怪人が現れ、連続殺人が起こります。遺体はいずれも100年前の犠牲者と同じ箇所を切除されています。まさか19世紀の殺人者が、現代までニューヨークのどこかに隠れて生きのびていたとでもいうのでしょうか?

 これが島田荘司さんの作品なら、そんなことを信じる読者はいないでしょうが、何しろこれは『レリック』『レリック2』のプレストン&チャイルド。私もこの2冊は読んでいるのですが、まあ聞いて下さいな。

 『レリック』の謎はこうです。ニューヨーク自然史博物館の地下で、未知の猛獣に襲われたとしか思えない惨殺死体が発見されます。まさか近代的な博物館の地下に、未知の猛獣が潜んでいるとでもいうのでしょうか?

 答え。博物館の地下に未知の猛獣が潜んでいた。

 『レリック2』の謎はこうです。セントラルパークの周辺で、地下から現れた異形の怪人に襲われ殺されるという事件が連続します。セントラルパークの地下に、地底人が潜んでいるとでもいうのでしょうか?

 答え。セントラルパークの地下に地底人が潜んでいた。

 そのまんまかい!

 ちなみに、未知の猛獣も、地底人も、ペンダーガスト氏が抹殺して闇に葬り去ってしまいます。こいつ、名探偵というより、UMAハンターか、隠蔽工作の専門家。

 という過去の経験から類推するに、『殺人者の陳列棚』は、19世紀の殺人者は、実は不老不死で、現代まで生きていて、ペンダーガスト氏が抹殺して闇に葬り去ってしまう、という話ではないでしょうか。読む前から私はそう思いましたね。

 いやしかし、まさかその通りだとは・・・。ううむ。

 プレストン&チャイルドの作品は、ミステリではなくサスペンス小説です。ナイフを持った殺人者に追いかけられるヒロインといったベタなシーンを平気で書くし。あ、危ない、志村~、後ろ! 後ろ! というとこでカットバックするとか。もうベタです。ベタベタです。ハリウッド映画の台本みたいです。

 ちなみに『レリック』はハリウッドで映画化されていますが、これはB級怪獣映画として割と良い作品になっていました。何と言っても、うっとうしいペンダーガストが一切出てこないし。

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