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『さびしいまる、くるしいまる。』(中村うさぎ) [読書(随筆)]

 「文庫版あとがき」というのは、まあ、つまらないものと相場が決まっています。単行本を買った人に、文庫版も改めて買って頂きたい。出版社のそういう魂胆で、著者にちょこっと雑文なんぞ書かせて、巻末に載っける。それが「文庫版あとがき」ですね。内容なんてどうでもいいわけです。“文庫版にしか載ってない文章”というだけで、ファンはまた買うことになるでしょうから。

 ところが、この作品に関しては「文庫版あとがき」が極めて重要な位置を占めています。というか、これを書き加えたことで作品として完成した、と言ってもいい。決定打です。単行本を持ってる人、この「文庫版あとがき」のために、改めて文庫本を買うべきですよ。

 なお、要所要所に出てくる岩井志麻子さんが、これまたイイ味出してます。『志麻子のしびれフグ日記』と合わせて読むと、ひときわ味わい深いものがあって、お勧めです。

タグ:中村うさぎ
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