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『林美登利 人形作品集 Night Comers ~ 夜の子供たち』(林美登利、石神茉莉、田中流) [読書(オカルト)]

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 時に恐ろしげに見えるドールが同時に愛らしいイノセントの姿にも映り、時にコミカルな表情をみせる作品はその後ろに魔を抱える。病的でビザールなデザインに彩られたドールが、その逆の聖性をたたえた瞳でこちらを見つめている。
 そこにあるのはなんとはなしの雰囲気で成立するような作品ではない。そこにいるのは、長い時間、林美登利というアーティストの中で受精し分裂し成長してきた“モノ”、誕生までの長いモノガタリを感じさせる佇まいで忽然と現れた“モノ”だ。妖しく見える要素も、残酷に映る装飾的イコンも、そういった表層的な見た目とは明らかに異なる別の顔をもって饒舌に語りかけ、見るものをどこか不安でどこか懐かしく、心地よく秘密めいた別世界に誘う
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単行本p.81


 幼い少女と動物や虫などが融合した異形のキメラ。そのグロテスクなカタチにも関わらず、なぜか愛らしく、魅力的で、不思議な共感のようなものを呼び起こす姿。そしてその瞳、確固たる意志と伝えるべき物語をもって私たちを見つめてくる、その瞳。前作『Dream Child』に続く林美登利さんの人形写真集第二弾です。単行本(書苑新社)出版は2017年11月。

 『Dream Child』の衝撃から3年半、林美登利人形写真集の第二弾がついに刊行されました。撮影は田中流さん、短編小説は石神茉莉さん、前作と同じメンバーが揃っています。ちなみに前作の紹介はこちら。

  2014年04月02日の日記
  『Dream Child』(林美登利、石神茉莉、田中流)
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2014-04-02

 収録されている人形は、巻末の作品リストによると34体。前作を凌駕する美しい写真がびっしり詰まっており、どの一枚からも強烈な存在感が感じられます。

 石神茉莉さんの小説に加えて、深泰勉さんによる評論も収録されています。なお小説および評論を含む日本語にはすべて英訳がついており、このまま海外でがんがん売るぞ、という版元の気迫を感じます。出来映えから考えるに、おそらく海外でも大きな話題になるでしょう。

 なお、本書の刊行に合わせてヴァニラ画廊で林美登利さんの個展が開催されています。トーク&サイン会は終了していますが、この日記を書いている時点で人形展は開催中。興味がある方は、ぜひお立ち寄りください。

ヴァニラ画廊
'17/11/7 ~ 11/19 林美登利人形展「Night Comers~夜の子供たち」
http://www.vanilla-gallery.com/archives/2017/20171107a.html


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