『を こ』(関かおり、PUNCTUMUN) [ダンス]
公演パンフレットより
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『を こ』の舞台は、身近な場所で、遠い場所で、どこでもないところで、
いろんな人の今で、過去で、現実。
そして、わたしたちはみんな、をこなもの。
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関かおり
2016年2月11日は、夫婦で森下スタジオに行って関かおりさんの新作公演を鑑賞しました。関かおりさんを含む7名のダンサーが踊る約1時間の舞台です。
舞台上には黒っぽい砂が敷かれ、どこかの砂浜のような感じになっています。その砂の上で7名のダンサーが、ゆっくりゆっくり動いて、組み合わさって、得体の知れない群体生物をつくりあげます。
植物のようにも、巨大な虫のようにも見える、謎の群体が、砂上で蠢いています。ゆっくりとしたポーズ変更を常に続けているため、全体像がつかみにくく、目の前にいるのに印象が定まらない不思議な生き物。照明が見事で、はっとするような美しさや異界感を作り出してくれます。
群体はゆるやかに変異しながらときどき分裂して、二・三名のダンスになります。昔観た作品に比べるとリフトは控えめですが、ときどき相手の身体をよじ登る、唐突にすとんと落ちる、といったアクロバティックな動きが出て驚かされます。
メンバーは周囲の垂れ幕から消えたり現れたりするのですが、照明効果と動きの幻惑によって舞台上に意識が集中させられているため、その出現と消失がいかにも唐突に感じられて、けっこうショックを受けたり。
全員で一列に並んで「ムカデ競争」のような体勢になる印象的なシーンが何度か出てきますが、個人的にはクラゲの幼態を連想しました。生殖過程なのかも。他にも横一列に並んで隣人の顔の横から手を出す、といった動きがいちいち異様に見えて、割と不穏。
床に物を落とす音、小さなネジが転がる音、何かが軋む音、女性のすすり泣き(怖い)、など環境音の効果は凄くて、観客席から生ずる音(紙がこすれる音とか、抑えた咳払いとか)さえも背景音に聞こえてきます。
香りも使われていたようですが、こちらは鼻づまり(花粉症憎し)のせいでよく分かりませんでした。無意識の情緒レベルでは色々と刺激されていたのかも知れません。
[キャスト他]
振付・演出: 関かおり
出演: 北村思綺、後藤ゆう、小山まさし、鈴木清貴、毛利アンナ可奈子、矢吹唯、関かおり
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