『イラストレーション 2011年9月号(No.191) 総力特集:絵本2011』(ショーン・タン) [読書(教養)]
雑誌「イラストレーション」の最新号では、「ショーン・タン Shaun Tan 世界を生み出す力」として、『アライバル』がとりあげられました。
内訳は、見開き原画が2枚(4ページ)、スケッチや下書きと完成版の比較(2ページ)、ラフや設定集などの資料(2ページ)、近日刊行の日本版『The Lost Thing 忘れられた存在』(河出書房新社)の予告(1ページ)、インタビュー(1ページ)、総計10ページとなっています。
スケッチと完成版の比較も面白いのですが、何といっても圧巻なのは膨大なラフの数々。主人公が寝泊まりすることになる部屋の立体的な構造図、あちこちに登場する謎めいた文字のフォント集、ネズミだかカエルだかカメレオンだかよく分からない謎の生物(ペット)の様々な動作や姿勢など、その分量と緻密さには驚かされます。
『アライバル』の仰天するような異世界リアリティがどのようにして生み出されているのかが想像できる素晴らしい資料です。なお、これらの資料は日本未発売の"Sketches From a Nameless Land"という、"The Arrival"とセット販売された冊子から転載したそうです。(アマゾンで注文して購入した原書には、そんな冊子はついてませんでしたが)
インタビューで面白いと思ったのは、『アライバル』は「ほとんどの人が考えるような移民について(の物語)ではない」とさらりと言い切っていること。移民という設定を使って『アライバル』が描いているのは、私たちの人生そのものの不可解さと驚きなんですね。
それと最後の最後に次のような発言が。
「私のイラストレーションが初めて出版されたのは、16歳の時に描いた小さなSF雑誌の表紙です。50ドル程もらいました。高校の友人達にそれを見せて、「プロのイラストレーターになったんだぞ」と大口をたたいた時は、本当にぞくぞくしましたよ!」
高校生のショーン・タンが描いたカバーアート見たい。小さなSF雑誌って何ですか?
というわけで、ショーン・タンだけでも充実していますが、特集は全部で70ページもの分量。作家37名が登場し、海外作家については全員オリジナルのインタビューがついているというのだから、これは凄い。詳しくは出版社による紹介ページをご覧ください。
イラストレーション 2011年9月号 no.191
http://www.genkosha.co.jp/il/backnumber/869.html
次号の特集は「中村祐介」、作品集『BLUE』以降の仕事を中心に紹介するそうで、やっぱり定期購読した方がいいかしらん。
追記:
日記公開後にマイミク「なかね」さんより以下のコメントを頂きました。許可を得てそのまま引用します。どうもありがとうございました。
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>高校生のショーン・タンが描いたカバーアート見たい。小さなSF雑誌って何ですか?
英サイトのwikiをのぞいてみると記載がありました。
http://en.wikipedia.org/wiki/Shaun_Tan
At the age of sixteen, Tan's first illustration appeared in the Australian magazine Aurealis in 1990.
とあるので「Aurealis」という雑誌のようです。
「Aurealis」のサイトにはバックナンバーリストが。
http://www.aurealis.com.au/issues.php
以下のカバーがそれかと思われます。
http://www.aurealis.com.au/issues.php?show=2
http://www.aurealis.com.au/issues.php?show=8
http://www.aurealis.com.au/issues.php?show=9
http://www.aurealis.com.au/issues.php?show=10
http://www.aurealis.com.au/issues.php?show=12
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内訳は、見開き原画が2枚(4ページ)、スケッチや下書きと完成版の比較(2ページ)、ラフや設定集などの資料(2ページ)、近日刊行の日本版『The Lost Thing 忘れられた存在』(河出書房新社)の予告(1ページ)、インタビュー(1ページ)、総計10ページとなっています。
スケッチと完成版の比較も面白いのですが、何といっても圧巻なのは膨大なラフの数々。主人公が寝泊まりすることになる部屋の立体的な構造図、あちこちに登場する謎めいた文字のフォント集、ネズミだかカエルだかカメレオンだかよく分からない謎の生物(ペット)の様々な動作や姿勢など、その分量と緻密さには驚かされます。
『アライバル』の仰天するような異世界リアリティがどのようにして生み出されているのかが想像できる素晴らしい資料です。なお、これらの資料は日本未発売の"Sketches From a Nameless Land"という、"The Arrival"とセット販売された冊子から転載したそうです。(アマゾンで注文して購入した原書には、そんな冊子はついてませんでしたが)
インタビューで面白いと思ったのは、『アライバル』は「ほとんどの人が考えるような移民について(の物語)ではない」とさらりと言い切っていること。移民という設定を使って『アライバル』が描いているのは、私たちの人生そのものの不可解さと驚きなんですね。
それと最後の最後に次のような発言が。
「私のイラストレーションが初めて出版されたのは、16歳の時に描いた小さなSF雑誌の表紙です。50ドル程もらいました。高校の友人達にそれを見せて、「プロのイラストレーターになったんだぞ」と大口をたたいた時は、本当にぞくぞくしましたよ!」
高校生のショーン・タンが描いたカバーアート見たい。小さなSF雑誌って何ですか?
というわけで、ショーン・タンだけでも充実していますが、特集は全部で70ページもの分量。作家37名が登場し、海外作家については全員オリジナルのインタビューがついているというのだから、これは凄い。詳しくは出版社による紹介ページをご覧ください。
イラストレーション 2011年9月号 no.191
http://www.genkosha.co.jp/il/backnumber/869.html
次号の特集は「中村祐介」、作品集『BLUE』以降の仕事を中心に紹介するそうで、やっぱり定期購読した方がいいかしらん。
追記:
日記公開後にマイミク「なかね」さんより以下のコメントを頂きました。許可を得てそのまま引用します。どうもありがとうございました。
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>高校生のショーン・タンが描いたカバーアート見たい。小さなSF雑誌って何ですか?
英サイトのwikiをのぞいてみると記載がありました。
http://en.wikipedia.org/wiki/Shaun_Tan
At the age of sixteen, Tan's first illustration appeared in the Australian magazine Aurealis in 1990.
とあるので「Aurealis」という雑誌のようです。
「Aurealis」のサイトにはバックナンバーリストが。
http://www.aurealis.com.au/issues.php
以下のカバーがそれかと思われます。
http://www.aurealis.com.au/issues.php?show=2
http://www.aurealis.com.au/issues.php?show=8
http://www.aurealis.com.au/issues.php?show=9
http://www.aurealis.com.au/issues.php?show=10
http://www.aurealis.com.au/issues.php?show=12
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