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『弟オレステスの放浪と帰還』(森山開次) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 夫婦で銀座の王子ホールまで行って観てきました。

 王子ホールに行ったのは初めてです。王子製紙の本社ビルの最上階にあるこじんまりとした劇場でした。ちょうど場末の名画座くらいの広さ(若い人はこういう言い方で分かるだろうか)。舞台は田舎の駅の待合室くらいのスペース。ここでオペラを上演するというのは、何と言うか、その心意気や良し、という感じ。

 今回の新作オペラ、正式なタイトルは“ギリシャ劇「エレクトラ3部作」<アトレウス家の崩壊と再生>第3話「弟オレステスの放浪と帰還」”なんだそうですが、お恥ずかしいことに、私はギリシャの古典演劇には何の興味もなく、原作者エウリピデスの名前すら知りませんでした。というより、そもそも第1話と第2話を観てません。

 今回、私たちのお目当ては、コンテンポラリーダンスの森山開次さん、ただ一人。オペラの美声をバックに踊ってました。音楽、声楽、舞踏のコラボレーションという趣向なんですが、舞踏担当は当然ながら彼一人です。

 何しろ舞台が狭いので、周囲を演奏家や指揮者や声楽家に囲まれた中でのダンス。踊るスペースときたら、たぶんタタミ3畳くらいしかありません。ちょっとでも体勢崩したら、譜面台は倒れるは楽器は飛ぶはバリトンの鳩尾に蹴りが入るは、もう阿鼻叫喚。もちろん森山開次さんがそんなヘマをするはずもなく、身体のコントロールは完璧でした。

 で、そのダンスですが、これが凄い。ゆっくりゆっくり身体バランスをとりながら姿勢をゆるやかに変えてゆくのが基本。語りの進行によっては無理な姿勢のままピタリと静止して場面を停止させます。いったいどれだけの筋力と平衡感覚を必要とするのか想像できません。息を飲んで見守りました。でも、これがまた気持ちいいんですね。

 どうも人間業ではないというか、そもそも人間に見えません。やっぱり“へんないきもの”という感じ。配偶者は「ウィンホンにそっくり」などと言ってました。ちなみにウィンホンというのは、うちで飼っているチンチラ(アンデス原産の齧歯類)の名前です。

タグ:森山開次
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