『モーアシビ 第47号』(白鳥信也:編集、小川三郎・北爪満喜・他) [読書(同人誌)]
詩、エッセイ、翻訳小説などを掲載する文芸同人誌、『モーアシビ』第47号をご紹介いたします。
[モーアシビ 第47号 目次]
――――――――――――――――――――――――――――
詩
『面影(映った影)』(北爪満喜)
『無傷にもなる空』(島野律子)
『星空』(小川三郎)
『ひらり』(森ミキエ)
『国境島』(サトミセキ)
『燠火』(楼ミュウ)
『夢まで歩く』(恵矢)
『河口にて』(白鳥信也)
散文
『読書と映画』(平井金司)
『アルパカのセーター』(岩谷良恵)
『実家よ サヨウナラ(その一)』(清水耕次)
『風船乗りの汗汗歌日記 その46』(大橋弘)
翻訳
テンドリャコーフ『幻想への挑戦』解説(エヌ・アスモーロワ=テンドリャコーワ/内山昭一:翻訳)
――――――――――――――――――――――――――――
お問い合わせは、編集発行人である白鳥信也さんまで。
白鳥信也
black.bird@nifty.com
――――
ふと見上げると
夏の青空に
雲の顔が浮かんでいた
あなたの
面影が
浮かんでいた
えっ、ほんとうに、ほんとうに、
その顔は確かにあなただった
長い髪をなびかせて
どこかへ向かう
澄んだ横顔に
足は止まって立ち尽くす
あなたを見つけて立ち尽くす
――――
『面影(映った影)』(北爪満喜)より
――――
まずは名前をつけてください。
星の名前がいいと思います。
寝る時間になったら
そっと背中を押してやってください。
なにか心残りがあるときは
きっと後ろを向くはずです。
たいていは短時間で眠りにつきます。
夜中にいなくなっても探さないでください。
植物か動物かはもちろん
生き物かどうかすら定かではありませんが
朝には必ず戻っていますので
その都度抱きしめてやってください。
――――
『星空』(小川三郎)より
――――
矢尻が国境を越えて飛んでいく
あんた どこへ行くの
イカがアンモナイトから進化して
尖ったあたまを先にして
水にそよぐ
グレーのリュックを背負い
ゆらゆら 地上から踵一つ浮いたまま 歩いている旅の女に
さよなら
と 手を振っている女
たいそう奇妙に思われる
ああ いま
イカの群れが
気持ちよさそうに 海中の国境を
行き来する
ヒトが試しに引いた一本の見えない線を
私たちはどこへ行くの
――――
『国境島』(サトミセキ)より
――――
俺自身はもうずいぶん前に細切れになっちまった
もう一回貼り合わせて
この川の前でそよいでいる
鱗を輝かせて水から飛び出す魚を見ながら
一本の葦となって
――――
『河口にて』(白鳥信也)より
[モーアシビ 第47号 目次]
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詩
『面影(映った影)』(北爪満喜)
『無傷にもなる空』(島野律子)
『星空』(小川三郎)
『ひらり』(森ミキエ)
『国境島』(サトミセキ)
『燠火』(楼ミュウ)
『夢まで歩く』(恵矢)
『河口にて』(白鳥信也)
散文
『読書と映画』(平井金司)
『アルパカのセーター』(岩谷良恵)
『実家よ サヨウナラ(その一)』(清水耕次)
『風船乗りの汗汗歌日記 その46』(大橋弘)
翻訳
テンドリャコーフ『幻想への挑戦』解説(エヌ・アスモーロワ=テンドリャコーワ/内山昭一:翻訳)
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お問い合わせは、編集発行人である白鳥信也さんまで。
白鳥信也
black.bird@nifty.com
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ふと見上げると
夏の青空に
雲の顔が浮かんでいた
あなたの
面影が
浮かんでいた
えっ、ほんとうに、ほんとうに、
その顔は確かにあなただった
長い髪をなびかせて
どこかへ向かう
澄んだ横顔に
足は止まって立ち尽くす
あなたを見つけて立ち尽くす
――――
『面影(映った影)』(北爪満喜)より
――――
まずは名前をつけてください。
星の名前がいいと思います。
寝る時間になったら
そっと背中を押してやってください。
なにか心残りがあるときは
きっと後ろを向くはずです。
たいていは短時間で眠りにつきます。
夜中にいなくなっても探さないでください。
植物か動物かはもちろん
生き物かどうかすら定かではありませんが
朝には必ず戻っていますので
その都度抱きしめてやってください。
――――
『星空』(小川三郎)より
――――
矢尻が国境を越えて飛んでいく
あんた どこへ行くの
イカがアンモナイトから進化して
尖ったあたまを先にして
水にそよぐ
グレーのリュックを背負い
ゆらゆら 地上から踵一つ浮いたまま 歩いている旅の女に
さよなら
と 手を振っている女
たいそう奇妙に思われる
ああ いま
イカの群れが
気持ちよさそうに 海中の国境を
行き来する
ヒトが試しに引いた一本の見えない線を
私たちはどこへ行くの
――――
『国境島』(サトミセキ)より
――――
俺自身はもうずいぶん前に細切れになっちまった
もう一回貼り合わせて
この川の前でそよいでいる
鱗を輝かせて水から飛び出す魚を見ながら
一本の葦となって
――――
『河口にて』(白鳥信也)より