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『TOGE』(小野寺修二、カンパニーデラシネラ) [ダンス]

 2021年12月18日は夫婦でKAAT神奈川芸術劇場に行って小野寺修二さんの新作を鑑賞しました。5名の出演者が踊る70分の公演です。

キャスト他
振付・演出: 小野寺修二
出演: 梶原暁子、李人欣、崎山莉奈、劉睿筑、藤田桃子

 薄暗い舞台上には5つの歪んだ台や机が置かれており、高所にはスピーカーや監視カメラなどが設置され、収容所のような寒々しい印象を与えます。ちぐはぐな白い服(囚人服にも患者服にも見える)を着た5名の出演者がそこで何やらあたふた活動します。この場を支配しているらしいルールや文脈は一切説明されず、発話もほとんどなく、不条理な閉塞感のなか、観客は5名の悪戦苦闘(に見える活動)を眺めることになります。

 カンパニーデラシネラから梶原暁子、崎山莉奈、藤田桃子の3名が参加しており、大真面目にヘンなことに取り組んで、何ともいえない妙な気分をかき立ててくれます。ゲストのうち李人欣(Lee Ren Xin)さんの存在感が素晴らしい。彼女が動きはじめると、どうしてもそちらを見てしまう。それと、ときどき小野寺修二さんがこそこそ登場して舞台装置をセットするのですが、これも謎のインパクトがあります。

 紙(アジビラかも知れない)を使ったパフォーマンスや、長いゴム紐を使って疎外感を見せる演出などが印象に残ります。あとホラー演出がうまい。いわゆるダンスシーンは少なめですが、冒頭と最後に全員で踊るシーケンスが用意されており、そこが場違いに楽しそうな雰囲気になるのが地味に怖い。





タグ:小野寺修二
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