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『解きたくなる数学』(佐藤雅彦、大島遼、廣瀬隼也) [読書(教養)]

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  数学の文章は、概して、問題自体、何を言ってるのか分からない。
  数学の文章は、概して、義務的な気持ちにさせる。

この二つの難題が、数学教育には、ずっと横たわっていて、学ぶ者たちの行く手を阻んでいた。数学の面白さを知る前に、壁があったのである。しかも、「問題の意味が分からない」とは、声に出して言いにくい。そして、さらに、義務とはかけ離れて「この数学の問題、解かせて解かせて!」という世界があることは、ほとんど想像もされてこなかった。でも、このトイレのタイルの問題は、教えてくれたのだった。
現実の世界に数学の問題がデザインされると ――

  ひと目で問題の意味が分かる。
  ひと目で問題を解きたくなる。

かくして、2009年に研究会が始まって6年目にして、私たちは、目指す方向を見つけたのであった。それから、さらに6年後の2021年に、この本は完成する。
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単行本p.130


 だんご三兄弟、ピタゴラスイッチ、Eテレ0655/2355、考えるカラス、などを生んだ佐藤雅彦さんが発足させた数学研究会。そこから生まれた「ひと目で解きたくなる」数学の問題集。左右のチーズは同じ大きさだろうか、子供の遊びにおいて特定の配置が実現することは可能だろうか、東京に住む人のうち誰とも髪の毛の本数が違う人はいるだろうか。日常風景の写真から数学の考え方を見つけてゆく本。単行本(岩波書店)出版は2021年9月です。


目次
第1章 驚くなかれこことここは同じ大きさー同じ面積
第2章 変わらないものに注目すると「ある真実」が見えてくるー不変量の問題
第3章 鳩の数が巣の数より多いと何が起こるかー鳩の巣原理
第4章 世の中を敢えて偶数と奇数のふたつに分けてみるー偶奇性の問題
第5章 ある地点からある地点に行くなら直線で行くのが一番近いー三角不等式
第6章 複数の条件が答えを決定づけるー条件の重ね合わせ
第7章 比較しにくいものを比較するにはー比較の問題
第8章 論理的ドミノ倒しー数学的帰納法
第9章 解く喜びここにありー修了問題
おまけ最終章 この本はこの問題から始まったーはじまりの問題




第1章 驚くなかれこことここは同じ大きさー同じ面積

台形のチーズを対角線に沿って四つに切り分ける。
このとき左右にできる三角形のチーズは形が異なるが同じ大きさです。
どうやって証明しますか?




第2章 変わらないものに注目すると「ある真実」が見えてくるー不変量の問題

6つの枠があり、6人の子供たちが一人ずつ中に立っています。
先生が一回笛を吹くたびに子供たちは、左か右の枠に移動します。
これをくり返したとき、同じ枠の中に4人以上の子供がいることはあり得るでしょうか?




第3章 鳩の数が巣の数より多いと何が起こるかー鳩の巣原理

3×3のマスがあり、ここに1,2,3の数字を自由に書き込んでゆきます。
すると、縦・横・ナナメに並ぶ3つの数字の合計が同じになるところが必ず出来ます。
なぜでしょう。




第4章 世の中を敢えて偶数と奇数のふたつに分けてみるー偶奇性の問題

オセロのコマが7枚あります。3枚が白、4枚が黒になっています。
ここから6回、任意のコマをひっくり返した後、1枚を手で隠します。
残りのコマは、白4枚、黒2枚です。手で隠したコマは白ですか黒ですか。




第7章 比較しにくいものを比較するにはー比較の問題

 31の11乗と、17の14乗では、どちらが大きいでしょうか。



第9章 解く喜びここにありー修了問題

人々が整列しています。
縦の各列からそれぞれ最も背の高い人を選んでゆきます。
ここで選ばれた人々のなかで最も背が低いのはAさんでした。
横の各行からそれぞれ最も背の低い人を選んでゆきます。
ここで選ばれた人々のなかで最も背が高いのはBさんでした。
では、AさんとBさんでは、どちらのほうが背が高いでしょうか?




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ひと目で問題の意味が分かる。
ひと目で問題を解きたくなる

――それが この本で やりたいこと
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