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『SFマガジン2021年6月号 異常論文特集』 [読書(SF)]

 隔月刊SFマガジン2021年6月号は、学術論文の体裁をよそおった怪文書=異常論文の特集という、どうかしてる号でした。


『SF作家の倒し方』(小川哲)
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 池澤春菜率いるSF作家界に加わり、世界を素晴らしいものにしていく手伝いをするか、それとも、大森望率いる裏SF作家界に加わり、闇の力で日本を支配するか。(中略)裏SF作家界の力は強大です。有力な作家を次々と陣営に引きこみ、陰から社会を支配しています。(中略)
 そんな絶望的な状況でも、明るい未来を作るため、みんなの笑顔を守るため、SFを信じる力で世界に光が満ちるその瞬間まで、私たちSF作家は戦い抜かなければなりません。本稿では、二大勢力による戦争の最前線にいる私が、裏SF作家を倒す方法をみなさんに教えたいと思います。
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SFマガジン2021年6月号p.62

 大森望率いる裏SF作家界と戦うために、裏SF作家の倒し方を大公開。具体的に、柴田勝家、樋口恭介、高山羽根子、宮内悠介、飛浩隆、の五名を取り上げ、各人の弱点および有効な攻撃方法をまとめる。論文の体裁で書かれた怪文書。


『殲滅の代償』(デイヴィッド・ドレイク、酒井昭伸:翻訳)
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「戦車科、全車突入! 殲滅せよ、戦車隊(パンツァー)!
 ダニーは非常バーに手の平をあて、車長席を砲塔内に固定した。頭上のハッチをロックする。爆音をあげて大地を打ちすえる浮揚ファンの烈風も、部厚い装甲にはばまれて車内に影響をおよぼすことはない。だが、その高回転にともなって、車内にかんだかい回転音と熱が満ちていく。
〈双つ星〉は猛然と尾根を踊り越えた。
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SFマガジン2021年6月号p.359

 ある惑星の紛争に投入された傭兵部隊。ライバルの傭兵を雇っている敵勢力は、古代種族が遺した超テクノロジー遺跡を拠点としている。攻撃を仕掛けたら、宇宙の至宝を傷つけてしまうかも知れない。だが、戦争は戦争。主力戦力である浮揚大型戦車隊は、進軍を開始する。
 未来の戦車戦を非常にリアルに描いた短編。





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