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『「春」変奏曲 宮沢賢治』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

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陽が照って鳥が啼き
あちこちの楢の林も、
けむるとき
ぎちぎちと鳴る 汚ない掌を、
おれはこれからもつことになる
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春と修羅 第三集より『春』(宮沢賢治)


 2021年4月18日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんの公演を鑑賞しました。勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんが踊る上演時間一時間ほどの作品です。

 佐東利穂子さんによる宮沢賢治の詩集『春と修羅』の朗読(録音)が流れるなか、二人が交互に踊ります。テーマは「春」ですが、のどかな雰囲気はなく、激しい春の嵐の気配がずっと漂う舞台です。

 ときおり背後に映し出される雲のような春霞のような光が印象的で、薄暗いなか照明によりおぼろげな姿が浮かび上がる光景にはどこか圧倒的なものが感じられます。

 憤激を抑えてじっと立ち尽くしているような勅使川原三郎さんの身体の繊細な動き。いっぽう佐東利穂子さんは、おそらく妹のイメージなのでしょうが、明るく軽やかな動きで踊ってくれました。


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まことのことばはうしなはれ
雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底を
はぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ
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『春と修羅』(宮沢賢治)より





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