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『抗議するアートグラフィックス』(ジョー・リッポン、石田亜矢子:翻訳) [読書(教養)]

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 世界を変えようという思いから創作された、多方面にわたる素晴らしい抗議アート(プロテスト・アート)作品が本書に集合している。直感と機知に富んだビジュアルと言葉が、権力者に真実を突きつける。100年近く前の作品もあるが、作者の熱意と信念は今も光り輝いている。
 人権とは抽象的な概念ではない。人間性の最も素晴らしい現れである。平等・真実・正義の価値を反映させた共有価値に根ざしたルールなのだ。(中略)権利は石に刻まれた変更不能のものではなく、浸食を受けやすい。平和的に抗議を行う権利は自由社会の基盤である。それは表現の自由と密接に繋がっていて、ライターやアーティストは活動を展開し、私たちは作品を目にして笑い、涙し、歌い、楽しむのだ。そして自由が妨害された時には、怒るのだ。
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単行本p.171


 女性、性的少数者、黒人、難民、戦争、労働者、そして環境。虐げられたものたちの自由と尊厳を求める闘い、団結を訴えるポスター、絵画、チラシ、記事。「アートに政治を持ち込むな」などという馬鹿げた抑圧をものともせず、アートとは本質的に政治的な行為だとの信念に支えられたプロテスト・アート作品を世界中から集めた作品集。単行本(グラフィック社)出版は2020年8月です。


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 アートは命令しない。ただ参加を呼びかける。そして観客たちが体験し、感じることによって作品の意義が作られていく。つまりアートとは閉鎖された特異な存在ではなく、参加という共同行為によって存在するものなのだ。このプロセスを遂行するには、自分が自由であるように、他の人たちも自由でなければいけない。アートというのは本質的に肯定と参加による政治的な行為なのだ。
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単行本p.9




〔目次〕

はじめに:アニッシュ・カプーア
非合法な人間などいない
女性は紅茶のティーバッグのようなもの
もし私の頭に銃弾が撃ち込まれたら
平和を愛する人たちは
何も考えずに権力を重んじることは
憎悪とは、あまりにも大きな負担
地球がひとつではなく、ふたつあるかのように
あとがき:アムネスティ・インターナショナル





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