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『こども六法』(山崎聡一郎) [読書(教養)]

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 人権は人びとが何百年もかけて努力の末にわたしたちに渡してくれたバトンなんだ。わたしたちも未来の人たちにバトンを渡せるように努力しないとね!
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単行本p.178


 いじめなどの問題に直面して苦しんでいる子どものために、この社会を支えている基本的な考えや決まりを教えてくれる本。刑法から憲法まで、子どもに関わりの深いルールを抜粋して分かりやすく説明し、「いじめなどの人権侵害は許されないし、はっきりとした決まりによって、みんなが守られ、誰もが安心して暮らせる、そんな仕組みで社会は動いている」「まともな大人はその決まりを守って行動してくれる」という希望を伝えてくれます。単行本(弘文堂)出版は2019年8月です。


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 いじめで苦しんでいることをわかってもらえれば、保護者も学校の先生もきっときみのことを助けてくれるはずです。しかし、万が一それでも助けてくれないときは、両親と先生以外の大人にも助けを求める必要があります。(中略)両親と先生以外の大人に相談するのはちょっと勇気がいるかもしれません。でも、助けてくれる大人は必ずいるはずです。自分を守るために逃げていい、ということも忘れないでください。
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単行本p.194


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 昨今はいじめ問題のほかにも児童虐待、性的搾取といった理不尽な危険に子どもたちは晒されています。そして恐ろしいことに、いじめ問題も含め、そういった問題を深刻化させるのはしばしば大人たちの「見て見ぬふり」なのです。
(中略)
 『こども六法』は、こういった課題の解決を目指した本です。「わたしは今、苦しい思いをしています」というSOSが子どもの側から発信されることを目指し、またそのSOSに根拠を持たせることで、SOSを受けた大人が積極的に問題解決に動けるようにする、それでも最初に相談された大人が問題を解決してくれなかった場合は他の大人にも助けを求められるようにすることが、本書の目的です。
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単行本p.195


[目次]

第1章 刑法
第2章 刑事訴訟法
第3章 少年法
第4章 民法
第5章 民事訴訟法
第6章 日本国憲法
第7章 いじめ防止対策推進法




第1章 刑法
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 何が犯罪なのか、どのくらいの罰を受けるのかが決まっていないと、いつも「これは犯罪になるかもしれない」と不安に思いながら生活することにもなります。そのため、刑法にはあらかじめ「この犯罪に対してはこの罰があてはまる」ということが細かく決められていて、それ以外の罰を受けることはありません。
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単行本p.9


 14歳になるまでは何をしても犯罪にならないの?
 鉄道に置き石するいたずらは犯罪なの?
 お酒や薬を悪用したエッチは犯罪なの?
 気軽に「きもい」「うざい」「死ね」と言っては駄目なの?
 当たらないように石を投げたり水をかけたりしても暴行なの?
 子どもには世話をしてもらう権利があるの?


第2章 刑事訴訟法
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 刑罰を与えるということは、国が強制的に個人の権利を侵害することなので、どんなに慎重に決めても慎重すぎることはありません。なにもしていないのに間違って犯人とされて無実の人が罰を受けることがあれば、それは最悪の悲劇です。刑事訴訟法はそんな悲劇を避けるための法律なのです。
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単行本p.53


 保釈金って何だろう?
 警察官と検察官ってどう違うの?
 現行犯逮捕は誰でもできるの?
 どんなに軽い犯罪でも裁判になっちゃうの?
 黙秘をすると裁判で不利に扱われてしまうの?


第3章 少年法
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 少年法は、未成年者が法律を破る行為をしたときに、自分のした罪を反省させ、教育を受けさせ、または子どもを取り巻く環境を調整して、子どもにやり直すチャンスを与えようとする法律です。(中略)基本的には子どもには刑罰ではなく教育を与えることで、他人の権利を大切にできる大人に育ってもらおうと考えられているのです。
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単行本p.87


 悪いことをしても子どもなら謝るだけで許されるの?
 少年院ってどんなところ?
 やり直すためにどんなチャンスが与えられるの?


第4章 民法
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 民法は、こんな「あたりまえ」をルールにしておくことで、人びとの間でトラブルが起きることを防ぎ、トラブルを公平に解決できるようにしているのです。
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単行本p.107


 大人のフリをして買い物をしてはいけないの?
 親の代わりにオンライン注文してあげるのは大丈夫?
 他人のものを壊したらどのくらい弁償しなければいけないの?
 親が世話をしてくれないとき、どうすればいいの?


第5章 民事訴訟法
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 民事裁判は、争っている人同士が話し合うだけでは解決できないもめごとを、法律の力で解決するお手伝いをしましょう、という制度なのです。
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単行本p.143


 裁判ではどうやって戦うの?
 和解ってなんだろう?
 判決はいつ確定するの?


第6章 日本国憲法
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 憲法は、法律を作る国会、法律を使う裁判所や行政(内閣)など、国民の代表者を縛るものなのです。
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単行本p.161


 憲法は、国民のために、国家の権力をみはってくれているよ
 みんな幸せになる権利がある
 みんなと違っていてもいい


第7章 いじめ防止対策推進法
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 いじめられているとき、いじめを見たときは、すぐに大人に相談しましょう。そして、この法律のとおりに対応してくれているか、チェックしてみてください。もし、大人がこの法律を守っていなければ、別の大人にも相談してみましょう。本気で助けてくれる人が見つかるまで、あきらめないことが大切です。
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単行本p.183


 大人にはいじめから子どもを救いいじめをなくす義務がある
 先生たちはチームでいじめに対応するよ
 助けてくれる大人はかならずいるよ
 勇気を出して、いろんな大人に相談してみてください



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