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『幻想交響曲』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

 2019年7月19日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんの公演を鑑賞しました。ベルリオーズの幻想交響曲(全曲)を踊る上演時間1時間ほどの作品です。

 とにかくひさしぶりに佐東利穂子さんのダンスを観ることが出来て感無量。前回観た『泉』では、どこか儚げで幻影のような雰囲気をまとったダンスから力強い迫力で観客を引き込む強烈なダンスへと移ってゆきましたが、今作では最初から鬼気せまるようなパワー炸裂です。

 第一楽章、勅使川原三郎さんによる短い導入の後、佐東利穂子さんが舞台に飛び出すような勢いで踊り始める。初手から恋人ではなく魔女。黒い衣装も魔性あふれ、たちまち観客を魅了してしまいます。ストレートに音に合わせて動くような珍しくもかっこいいシーンが多く、新鮮です。

 第二楽章、第三楽章は勅使川原三郎さんが踊ります。優雅に踊りながら、照明効果を巧みに使って、不気味な悪い予感を少しずつ少しずつ高めてゆくところがすごい。最後はホラー。

 第四楽章は再び佐東利穂子さんによる迫力のダンスで盛り上がります。これだけ全力で踊り続けてこれから、体力的に、どうするのかという観客の不安を吹き飛ばす勢いで最終楽章へ突入。

 最終楽章はサバトというより百鬼夜行というかゴジラvsキングギドラというか。ベルリオーズの音楽から感じられるどこか捨て鉢めいた鬱屈した若さが、明らかにもう人じゃない二人を通して動きとして放出されるその熱量。この盛りあがり。

 アクション映画とホラー映画と怪獣映画を合わせて一時間に凝縮したような、最初から最後まで見せ場のような作品なので、初めての人にもお勧めです。



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