『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(涌井貞美、涌井良幸) [読書(サイエンス)]
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普段から目にしているため、特に不思議に思うことはないかもしれませんが、そのしくみや製造方法にあらためて思いをめぐらすと、おそらく戸惑ってしまうはずです。
(中略)
それもそのはず、私たちの身のまわりの多くの「モノ」は、20世紀の科学技術の結晶だからです。特にエレクトロニクスや新素材などに分類される最近の「モノ」は、過去1世紀の研究の集大成であり、難解なのは当然なのです。
本書は、こうした「モノ」の疑問を、図を交えてわかりやすく解説した謎解き本です。
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エスカレーター、除湿器、リンスインシャンプー、ゴミ収集車、タッチパネル、ヒートテック、ポストイット。身の回りに当たり前のように存在するモノの仕組み・動作原理を図解してくれる本。単行本(KADOKAWA)出版は2018年3月、Kindle版配信は2018年3月です。
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高層ビルなどを見慣れている今、建築中のビルの屋上でクレーンが動いていても疑問を持つことはありません。でも、ふと「資材を運び上げるクレーンを屋上に上げるのは誰だろう?」と考えると、気になって立ち止まってしまいます。また、プラモデルなどを作るときには瞬間接着剤を当たり前のように使いますが、「そもそもどうして瞬間的にくっつくのだろう?」と考えはじめると、プラモデル作りよりもその疑問のほうに関心が向いてしまいます。
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こんなすごい技術が使われていたのか、こんな仕組みになっていたのか、という感動が止まらない解説本。一つの項目は、解説2ページ、図解2ページ、合計4ページから構成されています。意外に複雑かつ難解なテクノロジーについても、子どもでも分かるように平易に解説。400ページ近い本ですが、最後までするすると読めます。
項目あたりのページ数が少ないにも関わらず、解説と図解に加えてときどき雑談というか一行豆知識が出てくるのですが、個人的にはそういうのが好き。
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ちなみに電線の鉄塔を建築する際にもクレーンのクライミングが用いられる。山奥に高い鉄塔が立っている不思議も、これで解決される。
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単行本p.16
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最近のエレベーターは静かで揺れがない。時速70キロを超えるスピードで昇降しながら、床に立てた10円玉が倒れないという。
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単行本p.24
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おもしろいことに、一つの自販機で暖かいものと冷たいものを同時に売る機能があるのは日本固有だという。狭いスペースを有効利用し、冷却の廃熱をムダにしない「もったいない」を心がける日本人の特性が現れている。
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単行本p.46
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ちなみに、「Blue-ray」ではなく「Blu-ray」なのは、前者にすると、英語圏の国で「青色光」を意味する一般名詞と解釈されて、商標としての登録が認められない可能性があったためだ。
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単行本p.100
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カタログには1キロワットの電気代で5キロワットの冷暖房ができるなどと書かれている。消費電力よりも冷暖房の能力のほうが大きいのだ。
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単行本p.110
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日本で最初に普及した洋式トイレは、汚物を1回流すのに20リットルを要したという。しかし、今では4リットルですむものもある。格段の進歩だ。
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単行本p.290
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老婆心ながらカイロは日本語「懐炉」のカタカナ表現であることに言及しておこう。
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単行本p.322
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蛇足だが、愛媛・宮崎・鹿児島の3県では黒板消しを「ラーフル」と呼ぶ。ラーフルとはオランダ語で「こする」の意味だが、どうして3県だけに文明開化以前の言葉が残ったかは謎という。
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単行本p.372
個人的に「まじか」と驚いたのが、次の事実。
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「金属の塊」であるはずの飛行機はなぜ飛べるのか。不思議なことに、そのすべてを完璧に説明する定説はない。
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単行本p.196
よくいわれる「ベルヌーイの定理」「気流に対する翼の仰角により揚力が発生」「翼が空気を切るときに発生する渦が原因」といった説はすべて不充分で、今でも翼が揚力を得る正確な仕組みは不明(というか精度の高い予測が出来ない)というのです。まあ。
[目次]
第1章 外で見かけるすごい技術
タワークレーン
エスカレーター
エレベーター
耐震・制震・免震構造
自動改札
消火器
電力量計
ダム
自動販売機
ゴルフボール
太陽電池
コラム:電線は3本1セット
第2章 身近な家電のすごい技術
冷凍冷蔵庫
洗濯機
電気ストーブ
除湿機と加湿機
FM・AM放送
電子体温計
体脂肪計
電子レンジとIH調理器
LED照明
薄型テレビ
DVDとBlu-ray
フラッシュメモリー
サイクロン掃除機
エアコン
デジカメ
オートフォーカス
デジカメの手ブレ補正
火災警報器
ブレーカー
コラム:コンセントの穴の大きさが異なる理由
第3章 生活用品のすごい技術
無洗米
石けんと合成洗剤
リンスインシャンプー
抗菌グッズ
曇らない鏡
圧力鍋
家庭用血圧計
ステンレス
冷却パック
フッ素樹脂加工のフライパン
カップ麺
クォーツ時計
パーマ剤
歩数計
パーコード
日焼け・日焼け止めクリーム
コラム:羽根のない扇風機
第4章 乗り物に見るすごい技術
飛行機
新幹線
リニア新幹線
電動アシスト自転車
ヨット
ハイブリッド車と電気自動車
自動運転
カーナビ
ゴミ収集車
ETC
コラム:さまざまに活用される「レーダー」
第5章 ハイテクなすごい技術
5G
VRとAR
ビットコイン
ドローン
Qi
電子ペーパー
リチウムイオン電池
タッチパネル
生体認証
ノイズキャンセリングヘッドフォン
UV・IRカットグラス
テザリング
ICタグ
タンクレストイレ
コラム:電池の起源は「カエル」だった!?
第6章 便利グッズのすごい技術
撥水スプレー
ゴアテックス
静電気防止グッズ
ヒートテック
遠近両用コンタクトレンズ
紙おむつ
使い捨てカイロ
形態安定シャツ
制汗・制臭スプレー
吸汗速乾ウェア
コラム:生物から学ぶ知恵「バイオミミクリー」
第7章 文房具のすごい技術
鉛筆
シャープペン
ボールペン
蛍光ペン
消しゴム
修正液
瞬間接着剤
ポスト・イット
ステープラー
黒板
和紙
インクジェット用紙
ノーカーボン紙
普段から目にしているため、特に不思議に思うことはないかもしれませんが、そのしくみや製造方法にあらためて思いをめぐらすと、おそらく戸惑ってしまうはずです。
(中略)
それもそのはず、私たちの身のまわりの多くの「モノ」は、20世紀の科学技術の結晶だからです。特にエレクトロニクスや新素材などに分類される最近の「モノ」は、過去1世紀の研究の集大成であり、難解なのは当然なのです。
本書は、こうした「モノ」の疑問を、図を交えてわかりやすく解説した謎解き本です。
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エスカレーター、除湿器、リンスインシャンプー、ゴミ収集車、タッチパネル、ヒートテック、ポストイット。身の回りに当たり前のように存在するモノの仕組み・動作原理を図解してくれる本。単行本(KADOKAWA)出版は2018年3月、Kindle版配信は2018年3月です。
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高層ビルなどを見慣れている今、建築中のビルの屋上でクレーンが動いていても疑問を持つことはありません。でも、ふと「資材を運び上げるクレーンを屋上に上げるのは誰だろう?」と考えると、気になって立ち止まってしまいます。また、プラモデルなどを作るときには瞬間接着剤を当たり前のように使いますが、「そもそもどうして瞬間的にくっつくのだろう?」と考えはじめると、プラモデル作りよりもその疑問のほうに関心が向いてしまいます。
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こんなすごい技術が使われていたのか、こんな仕組みになっていたのか、という感動が止まらない解説本。一つの項目は、解説2ページ、図解2ページ、合計4ページから構成されています。意外に複雑かつ難解なテクノロジーについても、子どもでも分かるように平易に解説。400ページ近い本ですが、最後までするすると読めます。
項目あたりのページ数が少ないにも関わらず、解説と図解に加えてときどき雑談というか一行豆知識が出てくるのですが、個人的にはそういうのが好き。
――――
ちなみに電線の鉄塔を建築する際にもクレーンのクライミングが用いられる。山奥に高い鉄塔が立っている不思議も、これで解決される。
――――
単行本p.16
――――
最近のエレベーターは静かで揺れがない。時速70キロを超えるスピードで昇降しながら、床に立てた10円玉が倒れないという。
――――
単行本p.24
――――
おもしろいことに、一つの自販機で暖かいものと冷たいものを同時に売る機能があるのは日本固有だという。狭いスペースを有効利用し、冷却の廃熱をムダにしない「もったいない」を心がける日本人の特性が現れている。
――――
単行本p.46
――――
ちなみに、「Blue-ray」ではなく「Blu-ray」なのは、前者にすると、英語圏の国で「青色光」を意味する一般名詞と解釈されて、商標としての登録が認められない可能性があったためだ。
――――
単行本p.100
――――
カタログには1キロワットの電気代で5キロワットの冷暖房ができるなどと書かれている。消費電力よりも冷暖房の能力のほうが大きいのだ。
――――
単行本p.110
――――
日本で最初に普及した洋式トイレは、汚物を1回流すのに20リットルを要したという。しかし、今では4リットルですむものもある。格段の進歩だ。
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単行本p.290
――――
老婆心ながらカイロは日本語「懐炉」のカタカナ表現であることに言及しておこう。
――――
単行本p.322
――――
蛇足だが、愛媛・宮崎・鹿児島の3県では黒板消しを「ラーフル」と呼ぶ。ラーフルとはオランダ語で「こする」の意味だが、どうして3県だけに文明開化以前の言葉が残ったかは謎という。
――――
単行本p.372
個人的に「まじか」と驚いたのが、次の事実。
――――
「金属の塊」であるはずの飛行機はなぜ飛べるのか。不思議なことに、そのすべてを完璧に説明する定説はない。
――――
単行本p.196
よくいわれる「ベルヌーイの定理」「気流に対する翼の仰角により揚力が発生」「翼が空気を切るときに発生する渦が原因」といった説はすべて不充分で、今でも翼が揚力を得る正確な仕組みは不明(というか精度の高い予測が出来ない)というのです。まあ。
[目次]
第1章 外で見かけるすごい技術
タワークレーン
エスカレーター
エレベーター
耐震・制震・免震構造
自動改札
消火器
電力量計
ダム
自動販売機
ゴルフボール
太陽電池
コラム:電線は3本1セット
第2章 身近な家電のすごい技術
冷凍冷蔵庫
洗濯機
電気ストーブ
除湿機と加湿機
FM・AM放送
電子体温計
体脂肪計
電子レンジとIH調理器
LED照明
薄型テレビ
DVDとBlu-ray
フラッシュメモリー
サイクロン掃除機
エアコン
デジカメ
オートフォーカス
デジカメの手ブレ補正
火災警報器
ブレーカー
コラム:コンセントの穴の大きさが異なる理由
第3章 生活用品のすごい技術
無洗米
石けんと合成洗剤
リンスインシャンプー
抗菌グッズ
曇らない鏡
圧力鍋
家庭用血圧計
ステンレス
冷却パック
フッ素樹脂加工のフライパン
カップ麺
クォーツ時計
パーマ剤
歩数計
パーコード
日焼け・日焼け止めクリーム
コラム:羽根のない扇風機
第4章 乗り物に見るすごい技術
飛行機
新幹線
リニア新幹線
電動アシスト自転車
ヨット
ハイブリッド車と電気自動車
自動運転
カーナビ
ゴミ収集車
ETC
コラム:さまざまに活用される「レーダー」
第5章 ハイテクなすごい技術
5G
VRとAR
ビットコイン
ドローン
Qi
電子ペーパー
リチウムイオン電池
タッチパネル
生体認証
ノイズキャンセリングヘッドフォン
UV・IRカットグラス
テザリング
ICタグ
タンクレストイレ
コラム:電池の起源は「カエル」だった!?
第6章 便利グッズのすごい技術
撥水スプレー
ゴアテックス
静電気防止グッズ
ヒートテック
遠近両用コンタクトレンズ
紙おむつ
使い捨てカイロ
形態安定シャツ
制汗・制臭スプレー
吸汗速乾ウェア
コラム:生物から学ぶ知恵「バイオミミクリー」
第7章 文房具のすごい技術
鉛筆
シャープペン
ボールペン
蛍光ペン
消しゴム
修正液
瞬間接着剤
ポスト・イット
ステープラー
黒板
和紙
インクジェット用紙
ノーカーボン紙
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