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『ウラミズモ、今ここに(「Web河出」掲載)』(笙野頼子) [読書(小説・詩)]

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 改憲森友の影で、民は売られる。医療なし、水道代五倍、薬代倍、新薬高価なまま、後々は国境のない医師団までも苦しみぬくかもしれぬ。当然、戦争はさせられるし憲法はぶっこわされる。ばかりか日本中が海外から持ってきた核廃棄物の置き場にされても文句言えなくなる。だって憲法よりISDSの方が強いからね。
(中略)
 TPPは「変わった」けれど地獄のISDS条項は残ったまま、他国はなんとか対応しているけど日本はまったく放置したままだ。その他もどんどん作り込まれている。ね、ね、どうかどうか無関心にならないで! 焦ってて文章やや乱暴ですけれども。そしてできることは少ないし仕事のついでだけどでも最後まで抵抗するから。
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 シリーズ“笙野頼子を読む!”第117回。

 河出書房新社の本のポータルサイト「Web河出」に寄稿された短篇。Web掲載は2018年4月です。以下のリンクから全文読むことが出来ます。

  [書き下ろし短篇小説]ウラミズモ、今ここに  笙野頼子  2018.04.16
  http://web.kawade.co.jp/bungei/1995/


 ちなみに、『ひょうすべの国』の紹介はこちら。

  2016年11月29日の日記
  『植民人喰い条約 ひょうすべの国』
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-11-29


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 笙野です。ごぶさたしています。慢性腎不全の老猫の看病をしつつ、TPP警告小説『ひょうすべの国』の続篇「ウラミズモ奴隷選挙」を書いています。(中略)これは、出来る範囲で最後までTPPに反対していきたい。行ける人には選挙に行ってほしい。そう願いつつ書き進めている作品です。
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 無論最後まで希望は捨てません。偏向報道はずっと何とかあきらめさせようとしてずーっと「もう決まったから」ばっかり言ってきているのでね、そしてこれは逆らう以外の選択肢はないほどの事態でもあるので。
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 ろくに報道もされないまま、なし崩し的にTPPが発効してしまうかも知れないという危機的状況のなか、執筆中の次作『ウラミズモ奴隷選挙』に先駆けて発表された短篇です。予告篇といっていいかも知れません。何しろ実際の政治状況が笙野文学をすごいイキオイで実現してゆくので、文学にもよりいっそうのスピードが求められるという、こんな状況、もういやだ。


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文学は売国を報道する。だって新聞がろくに報道しないからね。
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こうなったらもう、報道より文学の方がよっぽど迅速だよ。
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『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』 単行本p.16、26


 というわけで、『ウラミズモ奴隷選挙』は「文藝」で発表予定とのこと。掲載が楽しみです。というか、老猫と難病患者に闘いを任せておいて「掲載が楽しみです」とか気楽なことをいっちゃう自分ってどうなの、泣く。



タグ:笙野頼子
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