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『短歌タイムカプセル』(東直子、佐藤弓生、千葉聡) [読書(小説・詩)]

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 五七五七七の音数律をもつ短歌は、1300年以上も前から現在まで受け継がれている詩形です。教科書に載っている『万葉集』や『古今和歌集』は、タイムカプセルなのです。私たちはそれを掘り返し、開けてみることで、一千年以上も昔の人の思いを知り、その人に心を寄せることができるのですから。
 2000年代の最初の世紀に入った今、私たちは『短歌タイムカプセル』を作りました。まさに現在、多くの人に愛されている現代歌人の作品を、未来に届けたい名歌を、この一冊にまとめました。
 この本が一千年後、タイムカプセルの役割を果たすことを願っています。そして、はるかな未来にいる誰かの笑顔を想像しながら、今、みなさんにこの一冊をお渡しします。
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単行本p.7


 現代歌人115人の作品から選ばれた総数2300首を「一千年の未来のためのタイムカプセル」としてまとめた一冊。単行本(書肆侃侃房)出版は2018年1月です。


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 ときどき「短歌をもっと読んでみたい」「自分でも短歌をつくりたい」という生徒が現れる。私は嬉しくなって、手もとにある歌集を貸す。それを返しに来るとき、生徒は言う。
「こういう短歌の本は、どこで買えますか?」
 多くの歌集は一般の書店に置かれていないし、わりと高価だ。生徒たちの小遣いで買える短歌の本をつくりたい。できれば一冊で、たくさんの歌人に触れることのできる本がほしい。
 その願いが、この本で叶えられた。これから短歌の世界に入っていく人たちにとって、心強いガイドとなる一冊である。多くの方が、それぞれの心の自由を守れますように。
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単行本p.245


 現代歌人115人を取り上げ、それぞれの作品を一人あたり20首選び、さらにそのうち1首につき編者による解説を加える、というフォーマットで書かれた短歌アンソロジーです。

 これまでに紹介したことがある現代短歌アンソロジーとも一部重なっていますが、とにかくこの三冊で現代短歌の全貌に触れることが出来るわけですから、「古典じゃない今の短歌」を読みたいと思った方は、まずはこの三冊から始めるとよいと思います。ちなみに他の二冊の紹介はこちら。


  2017年03月08日の日記
  『桜前線開架宣言』(山田航)
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08

  2017年04月20日の日記
  『太陽の舟 新世紀青春歌人アンソロジー』
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2017-04-20


 本書『短歌タイムカプセル』に収録された現代歌人は次の通りです。(あいうえお順に掲載されています)


安藤美保
飯田有子
池田はるみ
石川美南
伊舎堂仁
井辻朱美
伊藤一彦
内山晶太
梅内美華子
江戸雪
大口玲子
大滝和子
大塚寅彦
大辻隆弘
大西民子
大松達知
大森静佳
岡井隆
岡崎裕美子
岡野大嗣
荻原裕幸
奥村晃作
小野茂樹
香川ヒサ
春日井建
加藤治郎
加藤千恵
川野里子
河野裕子
北川草子
木下龍也
紀野恵
葛原妙子
栗木京子
黒瀬珂瀾
小池純代
小池光
小島なお
小島ゆかり
五島諭
小林久美子
今野寿美
三枝昂之
斉藤斎藤
佐伯裕子
坂井修一
笹井宏之
笹公人
笹原玉子
佐藤弓生
佐藤よしみ
佐藤りえ
陣崎草子
杉﨑恒夫
仙波龍英
染野太朗
高野公彦
高柳蕗子
竹山広
辰巳泰子
田丸まひる
俵万智
千種創一
千葉聡
塚本邦雄
寺山修司
堂園昌彦
土岐友浩
永井祐
永井陽子
中島裕介
永田和宏
永田紅
中山明
西田政史
野口あや子
服部真里子
花山周子
花山多佳子
馬場あき子
早川志織
早坂類
林あまり
東直子
平井弘
福島泰樹
藤本玲未
藤原龍一郎
フラワーしげる
干場しおり
穂村弘
前田透
正岡豊
枡野浩一
松平盟子
松村正直
松村由利子
水原紫苑
光森裕樹
三原由起子
村木道彦
望月裕二郎
柳谷あゆみ
山崎郁子
山崎聡子
山下泉
山田航
山中智恵子
雪舟えま
横山未来子
吉岡太朗
吉川宏志
吉田隼人
米川千嘉子
渡辺松男


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