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『DOPE』(平山素子:ダンス、加藤訓子:パーカッション) [ダンス]

 2018年2月4日は、夫婦で彩の国さいたま芸術劇場に行って平山素子さんと加藤訓子さんの共演を鑑賞しました。スティーヴ・ライヒの初期代表作『ドラミング』全曲演奏とダンス、公演時間は70分です。

 『ドラミング』を使ったダンス公演というと、個人的にはローザス版とローラン版を観たことがあります。いずれも十名を超える出演者たちによる渾身の舞台でした。


  2015年04月20日の日記
  『ドラミング』(アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル、ローザス)
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2015-04-20

  2009年10月06日の日記
  『La Vie qui bat (躍動する生命)』(ジネット・ローラン、オー・ベルティゴ)
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2009-10-05


 それが今回のバージョンは、演奏者もダンサーも1名ずつ、2人だけのデュオ公演という最小限構成というので驚きました。加藤訓子さんが『ドラミング』の各パート演奏を多重録音して流し、録音されてないパートを生演奏して共鳴させ、それをバックに平山素子さんが踊る、という舞台です。

 DOPEというのは薬物摂取(ドーピング)の略ですが、日本語にすると「ヤバい」に近い言葉。両名ともヤバさ全開の勢いで観客を引き込んでゆきます。

 平山素子さんのダンスは、ドラミングの強烈なリズムにそのまま乗るのではなく、その酩酊効果を背景にした小さな動きや姿勢変化(音に操られているような印象を受けます)から始まって、痙攣や転倒などの動きが加わり、観客の感情を刺激してゆきます。音とリズムに翻弄されつつも冷徹な視線で観客をまっすぐ見つめてくるので、正直ビビります。

 加藤訓子さんもダンスといってよいほど大きく、激しく動きます。演奏しながら両足でくっきりとしたステップを踏み、ここぞというタイミングでは腕を高く振り上げ劇的に振り下ろす会心の一撃。生演奏も録音も全パートを本人が演奏しているので、全体の統一感は素晴らしく、複数パートの共鳴による「うねり」効果も強烈。目眩が誘発されます。

 最後は加藤訓子さんも太鼓を叩きながら前に出てきて平山素子さんといっしょに踊り、まぶしい照明が観客席に向けられ目がくらむ中、何もかもが天国的というかヤバいもんキメた感が炸裂するなか唐突に舞台が暗転するという、まあ何かの過剰摂取による死を疑似体験してしまいました。



タグ:加藤訓子
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